
目次
- (1)記事全体の要約
- (3)経営者が新規事業を開発する上で参考にするポイント
- (4)事業アイデアが発想できる出題
- (5)経営者への新規事業開発に向けたアクション
(1)記事全体の要約
3COINSは、300円という低価格ながらデザイン性の高い雑貨で人気を集め、コロナ禍の「巣ごもり需要」も追い風に急成長を遂げている。成功の鍵は、SNSを駆使したトレンドの把握と情報発信力にある。社員自らがインフルエンサーとなり、フォロワーとの密なコミュニケーションを通じて顧客の心を掴む。さらに、従来の中心顧客である女性だけでなく、「3COINS MEN」を展開し男性客の開拓にも成功。企画から商品化までのスピード感、従業員のモチベーションを高める仕組みも強みとなっている。変化の早い市場に対応し、多様なニーズを取り込む戦略が成長を支えている。

- ① 3COINSの基本戦略と成長:
- 3COINSは、300円を中心価格帯とし、デザイン性とトレンド感を重視した雑貨を展開。当初はアクセサリー中心だったが、生活雑貨へシフトし、コロナ禍の「巣ごもり需要」を的確に捉え売上を伸ばした。品質向上にも注力し、「安かろう悪かろう」のイメージを払拭。実用性とデザイン性を両立させた商品が幅広い層に支持され、急速な店舗網拡大と売上増加につながっている。
- ② SNS活用とターゲット拡大:
- 3COINSの強みはSNSの徹底活用にある。社員がインフルエンサーとして商品情報を発信し、合計113万人以上のフォロワーを獲得。コメントへの返信など丁寧なコミュニケーションでファンを育成している。このSNS戦略で得た顧客インサイトを活かし、これまで手薄だった男性向け市場へ「3COINS MEN」を投入。シンプルで実用的な商品が受け入れられ、新たな顧客層の獲得に成功した。
- ③ 組織力と商品開発:
- 「説明3行」の企画書で意思決定を迅速化し、トレンド商品を素早く市場に投入する体制を構築。SNSでの発信力が従業員の評価(賞与)にも反映される仕組みで、社員のモチベーションを高めている。変化の激しい市場動向や多様化するニーズに対し、SNS分析や顧客との対話を通じて的確に対応。組織全体で顧客ニーズを捉え、スピーディーに商品化するサイクルが競争力の源泉となっている。
(3)経営者が新規事業を開発する上で参考にするポイント
- SNSを顧客理解とトレンド把握の最重要ツールと位置付ける: 単なる情報発信だけでなく、顧客との直接的な対話やコメント分析を通じて、潜在的なニーズや市場の最新トレンドをリアルタイムで把握する。社内にSNS分析・活用の専門チームを置くことも有効。
- 既存事業の強みを活かして隣接市場・新ターゲット層を開拓する: 自社の技術、ノウハウ、ブランドイメージ、顧客基盤などを棚卸しし、それを応用できる新たな市場や顧客セグメント(例:性別、年齢層、ライフスタイルなど)への展開可能性を探る。
- 社内リソース(特に人材)を最大限に活用し、情報発信力を強化する: 従業員が持つ知識や情熱を、SNSなどを通じた情報発信に活かす仕組みを作る(社内インフルエンサー制度など)。従業員の主体的な情報発信が、顧客エンゲージメント向上やブランドイメージ構築につながる。
(4)事業アイデアが発想できる出題
- あなたの会社の顧客層が活発に利用しているSNSは何ですか? そのSNS上で、顧客はどのような情報に関心を持ち、どのような悩みを抱えているでしょうか? 顧客の生の声から、既存事業の改善点や、まだ満たされていない新しいニーズを発見できないか考えてみましょう。
- 自社の既存商品やサービスについて、現在の主な顧客層とは異なるターゲット(例:若年層、シニア層、男性/女性など)に響くようなアレンジや見せ方はできませんか? 3COINSが男性向けラインを展開したように、少し視点を変えることで、新たな市場を開拓できる可能性を探ってみましょう。
- 「低価格」と「高い付加価値(デザイン性、機能性、体験など)」を両立させるには、どのような工夫が可能でしょうか? 自社の業界において、コストを抑えつつ顧客満足度を高めるためのアイデア(例:製造プロセスの見直し、異業種連携、サブスクモデル導入など)を具体的に検討してみましょう。
(5)経営者への新規事業開発に向けたアクション
まず、自社のターゲット顧客が最も利用しているSNSプラットフォームを特定し、そこで交わされている会話やトレンドを最低1ヶ月間、定点観測・分析してみてください。 顧客のリアルな声、競合他社の動向、そして社会全体の空気感の中から、自社の新規事業につながるヒントや、既存事業を改善するアイデアがきっと見つかるはずです。分析結果をチームで共有し、具体的なアクションプランに繋げましょう。
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