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n243_【データが示す真実】顧客は”共有リビング”より”個人の時間”を求めている。見過ごされた巨大市場の見つけ方

(1)記事全体の要約

限られた住空間を有効活用する「スペパ(スペースパフォーマンス)」という新しい価値観について解説しています。コロナ禍を経て在宅時間が増加し、家が仕事、学習、休息など多様な役割を担うようになりました。その結果、一つの家具や空間を多目的に使う工夫が広がっています。博報堂生活総研の調査によると、「ひとりの時間」を重視する傾向が強まる一方、「家族と過ごす共有スペースの充実」への関心は減少しており、個人の空間確保がスペパ意識の背景にあると分析。生活者の創造的な工夫の中に、企業が新規事業を開発するヒントが隠されていると指摘しています。

(2)記事内容の3分割

① 多様化する住まいの役割と「スペパ」の台頭
コロナ禍を機に在宅勤務やオンライン学習が普及し、私たちの住まいは単なる生活の場から、仕事や学び、趣味や休息までをこなす多機能な空間へと変化しました。限られたスペースで多様な活動を行う必要性から、空間対効果を意味する「スペパ」という考え方が注目されています。これは、一つの家具に複数の役割を持たせたり、デッドスペースを有効活用したりするなど、空間を最大限に活かす工夫を指し、新しい生活様式に対応するための知恵と言えます。
② データで見る生活者の意識変化
生活者の住まいに対する意識の変化を明確に示しています。1993年から2023年にかけて「意識してひとりの時間を作っている」人の割合が約3倍に増加しています。その一方で、「個室よりも家族で一緒にすごすスペースを充実させたい」と考える人は、2008年をピークに大きく減少しました。このデータから、家の中でもプライベートな時間や空間を確保したいという「個」を重視する傾向が強まっていることが読み取れ、スペパの工夫を後押しする大きな要因となっています。
③ 生活者の工夫に学ぶビジネスチャンス
出窓を机代わりにしたり、椅子の中に収納スペースを設けたりと、生活者が実践している具体的な「スペパ」の工夫が紹介されています。これらは単なる節約ではなく、暮らしを豊かにするための創造的なアイデアです。企業にとって、こうした生活者の知恵や工夫は、潜在的なニーズの宝庫と言えます。人々が何に不便を感じ、どのように解決しているかを観察することが、新しい商品やサービスを開発する上で極めて重要なヒントになるでしょう。

(3)経営者が新規事業開発で参考にするべき3つのポイント

  1. 「一石二鳥」の多機能性を追求する
    製品やサービスに、複数の機能や価値を組み合わせる視点が重要です。例えば、収納を兼ねた家具、照明とスピーカーを一体化させた家電など、一つの投資で二つ以上の役割を果たす「多機能性」は、スペパを重視する生活者に強く響きます。
  2. 「個人の時間と空間」というニーズに応える
    たとえ家族と暮らしていても、集中できる書斎や、一人でリラックスできる空間を求めるニーズは高まっています。大掛かりなリフォームなしで、室内に手軽に「個の空間」を作り出せる可動式の間仕切りや、パーソナルな空間を演出する製品・サービスに大きな可能性があります。
  3. 生活者の「小さな不便」と「工夫」を起点にする
    生活者がSNSに投稿するDIYのアイデアや、収納の工夫には、まだ市場にない製品やサービスのヒントが溢れています。ユーザーの自発的な工夫を「満たされていないニーズ」と捉え、それをより洗練された形で製品化・サービス化するという視点が、新たな市場を切り拓く鍵となります。

(4)記事から読み取れるビジネス課題

従来の「LDK」といった画一的な間取りや、単一機能の製品では、現代の多様化・個別化したライフスタイルに対応しきれなくなっていることです。
共働き世帯や単身世帯の増加といった家族構成の変化に加え、「家の中でいかに個人の時間を確保するか」という新しい価値観が顕在化しています。これまでのマスマーケットを前提とした商品開発や住宅設計では、こうした個々のニーズを捉えきれず、顧客満足を得ることが難しくなっています。企業には今、生活者一人ひとりの「スペパ」を意識した暮らし方に寄り添い、よりパーソナライズされた柔軟なソリューションを提供する能力が求められています。

(5)事業アイデアを発想するための出題

  1. 「限られた空間で仕事とプライベートを両立させたい」という切実なニーズに対し、既存の家具を組み合わせるだけで、オンとオフの空間を簡単に切り替えられるような、モジュール家具のサブスクリプションサービスは事業化できないでしょうか?
  2. 子供の成長やライフスタイルの変化に合わせて、住人が自分で間取りを手軽に変更できるとしたら、どのようなニーズがあるでしょうか?大掛かりな工事を不要にする、新しい壁や間仕切りの素材・工法を開発し、リフォームサービスとして提供できませんか?
  3. 家具の配置を変えることなく、空間の役割を変化させることは可能でしょうか?例えば、プロジェクターやスマート照明、音響を組み合わせ、ボタン一つで「集中モード」や「リラックスモード」に部屋の雰囲気を一変させる空間演出のITサービスは考えられませんか?

(6)経営者が次にとるべきアクションプラン

アクションプラン:自社の顧客や従業員を対象に、「我が家のスペパ自慢!フォトコンテスト」を実施する。
このアクションは、新規事業開発の第一歩として非常に有効です。生活者が実際にどのような工夫をしているのか、リアルな写真とコメント付きで収集することで、アンケート調査だけでは見えてこない潜在的なニーズや不満を具体的に把握できます。集まったアイデアは、次の商品開発やサービス改善のヒントの宝庫となるでしょう。また、顧客とのエンゲージメント強化や、社内の課題意識の共有にも繋がり、全社で新規事業に取り組む機運を醸成する効果も期待できます。
#スペパ #生活図鑑 #顧客ニーズ #価値観の変化 #博報堂生活総合研究所

小島章裕

元・苦情係の社長参謀、企画力が強み。創業2001年、事業開発で企業を強くする会社を経営。毎日200件のクレーム対応で培った顧客目線を武器に、経営者の右腕、現場の伴走者として事業開発と組織変革を支援。お客様の痛みを知るからこそ、血の通った戦略で貴社の挑戦を支援します。趣味はウルトラマラソン&トレイルラン。

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