「森と川に咲く花」がある、ここ愛知県一宮市は、モーニング発祥の地と言われています。※諸説あり
昭和30年代、繊維業が「ガチャマン(ガチャンと織れば万儲かる)」と沸いた時代。工場の機織り機が立てる凄まじい騒音を避け、経営者たちは喫茶店を「静かな会議室」として使いました。そんな彼らに、店主が「遠くからわざわざ、せめてこれくらいは」とゆで卵を添えたのが始まりだそうです。
「お客様の不便」を埋めるために生まれたサービスが、やがて地域の「文化」になった。
今、大手外食チェーンがこぞって「朝市場」を強化しているというニュースを読みながら、私は当時の喫茶店主たちの手触り感のある商売を思い出していました。
5000億円の「朝」を奪い合う、その正体
日経MJの記事によると、モスバーガーやウェンディーズが朝食メニューを相次いで刷新しています。市場規模はコロナ前より25%増の5347億円。なぜ今、各社がここまで「朝」に執念を燃やすのか。

理由は3つあります。
- 「オペレーションの共通化」という合理性
- モスは朝専用の食材を減らし、ランチと共通化しました。これは単なるコストカットではありません。現場の「仕込み」と「販売」を同時並行させ、遊んでいた時間(オフピーク)を収益源に変えるという執念です。
- 「習慣化」のスピードが異常に速い
- 記事の中でテンアライドの常務が語っている通り、朝食はメニューが固定されやすく、一度気に入れば「常連」になるまでの期間が圧倒的に短い。
- 健康とタイパの「わがままな共存」
- 「朝からしっかり野菜を摂りたい、でも時間はかけたくない」。そんな現代人の矛盾したニーズが、家庭ではなく「外」での朝食に向いています。
組織が30人を超え、社長の目が現場の隅々まで届かなくなってくると、私たちはついつい「大きな新規事業」や「華やかなプロモーション」に目を奪われがちです。
しかし、本当に強い経営とは、お客様の生活の「隙間」を埋め、習慣を独占することにあります。
競合がまだ眠っている早朝、あるいはお客様が「どこか良い場所はないか」と探している空白の時間。そこにあなたの会社の強みを差し込む余地はないでしょうか。
実践:明日からできる「泥臭い」スタート
「うちは飲食業じゃないから関係ない」と思ったなら、それは少しもったいない。朝の需要はどんな業種にも存在します。
まずは予算をかけず、以下の視点で自社を見直してみてください。
- 「ついで」の共通化を探す
- モスの「トマト厚さ2倍(共通化)」のように、今あるリソースをそのまま朝の時間帯にスライドできないか。
- 「早朝限定」の相談窓口を作る
- BtoBなら、社長が一番集中できる朝7時から1時間だけ、即断即決の「ホットライン」を設けてみる。
- 「おまけ」から関係を作る
- 一宮のモーニングのように、本来のサービスに「心地よいおまけ」を付けて、顧客のルーティンに入り込む。
小島流・思考のヒント
お客様が「一番困っている時間帯」はいつか?多くの企業が営業を開始する「午前9時」より前に、顧客の課題を一つ解決してあげられたら。その瞬間に、あなたは「取引先」から「参謀」へと格上げされるはずです。
おまけ:小島流「味変アイデア」
もし私がいま、BtoBの製造業を営む社長の参謀なら、工場の入り口に「近隣住民も使えるコーヒースタンド」を作ります。
ただの福利厚生ではなく、朝の散歩中の人たちが集まる場所にすることで、地域の「困りごと」が自然と集まる情報拠点にする。「機織りの騒音」を避けて集まった時代から、今は「孤独」や「情報の遮断」を避けて集まる時代ですからね。
ちなみに、一宮の古い喫茶店では、今でも「モーニング、いつもので」の一言で会話が成立します。究極のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、案外こういうアナログな信頼関係の中にあるのかもしれません。
参謀からのエール
- 「朝市場」の熱狂は、顧客のライフスタイルの変化そのものである。
- 新しいことを始めるより、今あるものを「違う時間」に置けないか考える。
- 「習慣」を制する者が、長期的な収益を制する。
社長、明日の朝はいつもより30分だけ早く、現場の空気を感じてみませんか。
そこには、数字やデータには表れない、新しい事業の「種」が必ず落ちているはずです。




























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