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【議題280】顧客を囲い込むのは「商品力」ではない。アシックスに学ぶ、伴走型ビジネス「ランニングエコシステム」の正体

昨夜、ふと机の上にあったマラソンの完走メダルを見て思ったんだ。「走る」というのは、あくまで一つの「点」に過ぎない。しかし、その前後の物語こそが、人の心を動かすんだと。

この記事を読み終えたとき、あなたは自社のサービスを「点」で捉える視点から卒業し、顧客の人生という「面」を支えるワクワクするビジネスの設計図を描いているはずだ。

記事の要約

アシックスはAIを活用したランナー支援プラットフォーム「ランコンシェルジュ」の日本語版を導入した。コースやエイド(補給所)の情報を一元的に提供することで、ランナーの参加ハードルを下げる試みだ。単にシューズを売るだけでなく、練習、移動、宿泊、走行、ケアに至るまで、顧客の体験全体に関与する「ランニングエコシステム」を構築。レースを「面」で捉えることで顧客の囲い込みを図り、売上1兆円への布石としている。(出典:日経MJ 2026/5/8)

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明日から実践できる3つのポイント

  • 「面」の棚卸し: 自社の商品を利用する前後、顧客はどんな準備をし、どんな感情を抱いているかを書き出す。
  • 情報の集約化: 顧客がサービス利用時に「調べるのが面倒」と感じている不満を、自社がAIやリストで先回りして解決できないか検討する。
  • 体験の設計: 顧客がその商品を利用した後に、どのような「個人的な楽しみ(温泉や家族への土産など)」が待っているかを共に演出する。

ニュースの裏側にある「顧客の痛み」

「ランコンシェルジュ」の本質は、AIによる利便性だけではありません。これは、「未知のことに挑戦する際の、孤独と不安」という、すべての人間が抱える痛みに寄り添うためのサービスです。

多くの企業は「商品のスペック」を競い合いますが、それは顧客から見れば「点」の価値しかありません。しかし、アシックスは「レースを面で捉える」と言い切った。移動、宿泊、食事、そしてゴール後の充足感までを自分たちの守備範囲だと定義したのです。

「売った後の顧客の人生に、どこまで伴走できるか」

ここに踏み込んだ企業だけが、価格競争という沼から抜け出し、顧客にとっての「なくてはならないパートナー」になれるのです。

実践:明日から現場ですぐにできること

特別なAIは不要です。まずは、あなたの会社が提供するサービスの「前後」を想像することから始めましょう。

社長が明日、社員にかける一言

「うちの商品を使ってくれたお客様が、その後に『やってよかったな』と家族に話せるような小さな工夫、何か思いつかないか?」

小島流:顧客体験マップ作成フレームワーク

前段階(不安の除去): 顧客が購入を決める前に抱えている「見えない壁」は何か?
本番(体験の向上): 利用中に「もっとこうなればいいのに」と思っていることはないか?
事後(物語の拡張): 利用後に顧客が家族や友人に報告したくなる「物語の種(土産、思い出、達成感)」をどう演出するか?

おまけ:味変アイデア

マラソンの醍醐味は、ゴール後の開放感にあります。私が提案したいのは、「帰るまでが大会」という体験設計です。

もし私がマラソン大会の企画者なら、ゴール地点で「完走後の疲れを癒やす温泉マップ」や「帰り道で絶対に寄るべき地元の名店(手土産リスト)」を、AIでリアルタイムにレコメンドするサービスを組み込みます。あるいは、同じ方向へ帰る参加者同士を「打ち上げ仲間」としてマッチングする機能も面白い。

「頑張った自分へのご褒美」という物語を、主催者側が用意してあげる。そうすれば、ランナーは必ずまたその大会に戻ってきます。

社長参謀からのエール

今のあなたのサービスは、顧客にとって「モノ」で終わっていますか? それとも、思い出という「物語」の一部になれていますか?

経営はマラソンと同じで、孤独です。でも、あなたの横には必ず社員がいて、そして何より顧客がいます。共に汗をかき、顧客の物語の一部になるための伴走を始めましょう。

小島章裕

元・苦情係の社長参謀、企画力が強み。創業2001年、事業開発で企業を強くする会社を経営。毎日200件のクレーム対応で培った顧客目線を武器に、経営者の右腕、現場の伴走者として事業開発と組織変革を支援。お客様の痛みを知るからこそ、血の通った戦略で貴社の挑戦を支援します。趣味はウルトラマラソン&トレイルラン。

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