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「ただの安売り」で消耗する前に。若者が殺到する「蛇口から酒」の居酒屋が暴いた、飲食業界の残酷な真実

20年以上前の話になります。若気の至りで29歳で起業へと突き進み、毎日が喜怒哀楽のジェットコースターのような日々を送っていました。

会社を退職するわずか1週間前、妻の妊娠(長男)が判明するというビッグイベントまで加わり、私の社長人生の幕開けは、ちょっとした短編小説くらいにはなりそうなドタバタ劇でした。

当時、不安と重圧に押しつぶされそうになっていた私を、父は頻繁に飲みに誘ってくれました。よく行ったのは、昔ながらの赤ちょうちんの居酒屋。父はお酒がすすんでも「会社はどうだ?」「売上は上がっているのか?」といった野暮な質問は一切せず、ただひたすらに私のまとまらない話に耳を傾けてくれました。あの時のビールの味と、父の不器用な優しさは、今でも忘れられません。

そんな父と子でしたが、時が経つのは早いものです。今年でウィッテムも創業25年という節目を迎え、私自身「第二創業」として新たな挑戦の真っ只中にいます。そして先日、大学生になったその長男も交え、ついに三世代で居酒屋で盃を交わすことができました。

私にとって居酒屋は、人生の節目を彩る特別な場所です。しかし今、その「居酒屋」という業態自体が、これまでにない全く新しい形で若者たちの心を掴んでいるのをご存知でしょうか?

「新規事業が必要なのは分かっているが、何から手をつければいいか分からない」 「高尚な理論ではなく、自社ですぐに使える手立てが知りたい」

そう悩む経営者の方へ。今日は、ある大ヒット中の「新世代居酒屋」のニュースから、明日から予算をかけずに自社で新規事業の種を見つけるための「泥臭い具体策」をお届けします。

この記事を読み終える頃には、あなたの会社の「弱み」が「最大の武器」に見えてくるはずです。


ニュースの深読みと「問い」

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今回取り上げるのは、日経MJで報じられた「大衆酒泉テルマエ」の躍進です。壁にずらりと並んだ蛇口から、客が自分でお酒を注ぐ。1時間438円からのセルフ式飲み放題で、顧客の7割超(店舗によっては9割)が20代という驚異的な支持を集めています。

なぜ若者は「自分で酒を注ぐ手間」にお金を払うのか?〜顧客心理の読み解き〜

このニュースを見て「単なる安売りチェーンの成功談だろう」と片付けてしまっては、社長参謀として失格です。ここには、現代のビジネスを勝ち抜くための強烈なヒントが隠されています。

私はかつて通販事業の苦情対応部署にいました。毎日毎日、お客様の怒りや悲しみに向き合う中で確信した信念があります。それは「お客様の声(特に痛み)こそが最大の経営資源である」ということです。

今の20代の「痛み(インサイト)」とは何でしょうか? 「物価は上がるのに給料は増えない。でも、友達と楽しく飲みたいし、SNSでシェアできるような面白い体験(タイパ・コスパ)が欲しい」という切実な思いです。

テルマエは、この痛みを「蛇口からお酒が出る」という大正ロマンのエンターテインメントで見事に解決しました。「安く飲ませてあげるから、自分でお酒を運んでね」という店側の都合(人件費削減)を、「自分で蛇口から注ぐの、めちゃくちゃ楽しくない?」という顧客の体験価値(ロマン)にすり替えたのです。

「あるものを活かして、ないものを創る」中小企業の戦い方

さらに、このビジネスモデルの秀逸な点は、徹底的に「あるものを活かしている」ことです。

高価な最新式の卓上サーバーを全席に導入するのではなく、壁に「蛇口」を並べる。これなら初期投資は抑えられます。そして、客が自分で動くため、飲食店最大の悩みである人件費を圧縮し、FLコスト(食材費+人件費)を通常の60%から48%へ劇的に下げています。また、目的来店を促すSNSの仕組みがあるため、家賃の高い1階路面店である必要もありません。

「制約」を「アイデア」でひっくり返す。 これこそが、資本力で大企業に勝てない我々中小企業がとるべき、最も泥臭く、最も確実な戦い方です。


明日からできる「泥臭い」第一歩

では、この事例を自社にどう置き換えるか。 「よし、うちも工場に蛇口をつけよう!」ではありません(笑)。あなたの業界の中にある「当たり前の不満」を探すのです。

現場に眠る「不」をあぶり出せ

明日、出社したら、現場で一番汗をかいている社員にコーヒーでもご馳走しながら、こう聞いてみてください。

「最近、お客さんからよく言われるちょっとした文句って何?」 「うちの業務で、一番『これ面倒くさいな』って思ってる作業って何?」

机上の空論や高額な市場調査レポートは要りません。答えは常に、泥臭い現場の「痛み」の中にあります。

【小島流フレームワーク:不満のエンタメ変換】

新規事業の種は、以下の3ステップで妄想してみてください。

❶業界の「当たり前(不満・タブー)」を書き出す
(例:飲食店=店員が酒を運ぶのが当たり前、注文を待つのがイライラする)

❷その不満を「顧客のエンタメ」や「体験」に変換できないか妄想する
(例:待つのが嫌なら、自分で勝手に注げるようにしたら面白いのでは?)

❸自社にある既存の設備や技術で、別の見せ方ができないか組み合わせる
(例:高価なサーバーではなく、壁に蛇口をつければ安上がりでSNS映えする)

新規事業とは、何もないところから魔法のように生み出すものではありません。「あるものを活かして、ないものを創る」。既存の要素の掛け合わせにすぎないのです。


参謀からのエール

本日の記事のエッセンスを3行でまとめます。

  • 大ヒットの裏には、顧客の「痛み(インサイト)」の解決がある。
  • 店側の「都合(コスト削減)」は、見せ方次第で顧客の「エンタメ」に変わる。
  • 新規事業の種は、あなたの会社の現場の「不満」の中にすでに落ちている。

日々の業務に追われ、会社の将来に不安を抱えるお気持ちは痛いほど分かります。私も一人の経営者として、何度も壁にぶつかってきました。 しかし、あなたの中小企業には、長年培ってきた「あるもの(技術、顧客との絆、失敗の経験)」が必ずあります。アイデアの破壊力で、今を変えましょう。

もし、「自社の『痛み』は見つかったけれど、どう料理していいか分からない」と立ち止まってしまったら、いつでも私にお声がけください。机上の空論ではなく、あなたの隣で一緒に泥臭く汗をかく「参謀」として伴走します。

まずは明日、現場の社員さんに話しかけるところから始めてみてくださいね。


【付録】経営者が朝礼で社員に語る「30秒メッセージ」

おはようございます! 昨日、ちょっと面白いニュースを読みました。「壁の蛇口からお酒が出てくる」若者に大人気の居酒屋の話です。

そこでは、店員さんがお酒を運ぶ代わりに、お客さんが自分でお酒を注ぐんです。これ、一見すると「お客さんに手間をかけさせている」ように見えますが、若者にとっては「自分で注ぐのがアトラクションみたいで楽しい!」という価値に変わっているんですね。おかげで店側も人手不足を解消できているそうです。

これ、うちの会社でも応用できないでしょうか? 私たちが普段「面倒くさいな」と思っている作業や、お客様が「ちょっと不便だな」と感じていること。それを見方を変えて「楽しい体験」に変換できないか。

今日はぜひ、皆さんが現場で感じる「小さな不便や面倒」を、宝探しのように見つけてみてください。それが、私たちの新しいサービスの種になるはずです。今日も一日、安全第一でよろしくお願いします!

小島章裕

元・苦情係の社長参謀、企画力が強み。創業2001年、事業開発で企業を強くする会社を経営。毎日200件のクレーム対応で培った顧客目線を武器に、経営者の右腕、現場の伴走者として事業開発と組織変革を支援。お客様の痛みを知るからこそ、血の通った戦略で貴社の挑戦を支援します。趣味はウルトラマラソン&トレイルラン。

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