名古屋のモーニングと「違和感」の正体

名古屋の喫茶店で、いつものようにモーニングを食べながらスマホでニュースをチェックしていたときのことです。
ふと、画面の文字の輪郭がぼやけて見える瞬間がありました。「おや、昨日の疲れが残っているかな?」と目をこすりましたが、心のどこかで分かっていました。これが、誰もが避けて通れない「老い」の入り口なのだと。
みなさんも、手元の書類を少し遠ざけて見たり、夕暮れ時の運転が怖くなったりした経験はありませんか?
実はこれ、単なる老化現象として片付けてはいけない、極めて重要な「経営のヒント」なのです。
今日取り上げるのは、日経MJの記事にあった「アイフレイル(目の虚弱)」という言葉。

「目が悪い=眼科の仕事」だと思っていませんか?
元・苦情対応係の私から言わせれば、「お客様が我慢している痛み」こそが、我々中小企業が入り込むべき最大のチャンスです。
この記事では、まだ世の中の3割しか知らないこのキーワードを使って、どうやって自社のビジネスを「顧客に選ばれる存在」に変えるか。その具体的な一手を、参謀の視点でお伝えします。
「我慢」の中にビジネスがある

「受診率2.4%」が意味する、巨大な未開拓市場
記事によると、「アイフレイル」という言葉を知っている人はわずか3割。さらに驚くべきは、「予防のために眼科に行った」という人は、たったの2.4%しかいないという事実です。
ここが重要です。
残りの97.6%の人はどうしているのか?
「最近見えにくいけど、歳のせいだから仕方ない」と、不便を我慢しながら生活しているのです。
私が通販事業の苦情対応をしていた頃、一番恐ろしかったのは「怒鳴ってくるお客様」ではありませんでした。本当に怖いのは、「何も言わずに去っていくお客様」です。
- 飲食店のメニューの文字が小さくて読めないから、適当に注文して美味しくなかった。
- 説明書の図が見えにくいから、使い方が分からず商品を棚の奥にしまった。
- 工場のベテラン職人が、手元のズレに気づかず不良品を出してしまい、自信を喪失して辞めてしまった。
これらは全て、お客様や社員が「自分の目のせいだ」と諦めているケースです。しかし、経営視点で見れば、これは「企業側が環境を整えていないことによる機会損失」に他なりません。
「アイフレイル」は、優しさではなく戦略だ
記事には、アイフレイルが進むと「うつ病を招く恐れもある」と書かれています。見えにくいことは、精神的なストレスに直結するのです。
ここで、視点を変えましょう。
もし、御社の商品やサービスが、この「見えにくいストレス」をさりげなく解消してくれるものだったらどうなるでしょうか?

- 「この店は、なぜか居心地がいい(照明とメニューのコントラストが絶妙)」
- 「この会社の商品は、説明書がなくても直感で使える(視認性の高いデザイン)」
顧客は、自分が高齢者扱いされるのを嫌います。「シニア向け」と銘打つ必要はありません。「誰にでも見やすい」というユニバーサルな価値を付加するだけで、他社との圧倒的な差別化になるのです。
これは福祉ではありません。生き残るための「戦略」です。

実践:明日からできる「泥臭い」第一歩
では、具体的にどう動くか。高価なコンサルを入れる必要も、大掛かりな設備投資もいりません。
明日からできる「泥臭い」アクションプランを提案します。
小島流・現場検証:自社を「薄目」で見てみる
私が現場に入る時、必ず行うチェックがあります。
お金をかけずに「アイフレイル状態」を疑似体験する方法です。
【小島流:アイフレイル対応チェックリスト】

- 「薄目」で自社商品を見る 目を細めて、視界をぼやかした状態で、御社のチラシ、Webサイト、商品パッケージを見てください。 「一番伝えたい情報(価格やメリット)」は、その状態でも判別できますか?
- 現場の照度計チェック(スマホアプリでOK) 工場の作業台、店舗のレジ周り。若い社員には十分でも、50代以上の目には「暗闇」かもしれません。 **「あと少し明るければ、ミスは減るのではないか?」**という視点で巡回してください。
- ベテラン社員へのヒアリング 「最近、目が疲れませんか?」と聞いてみてください。 「実は夕方になると図面が見えなくて…」という声が出れば、それは業務フロー改善(拡大鏡の設置や、タブレット支給など)のチャンスであり、離職防止の施策になります。
既存事業に「見やすさ」をプラスオンする
新規事業といっても、全く新しいことをする必要はありません。
- 印刷業・デザイン業なら:「UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)」を標準提案にし、「読みやすさで選ばれる販促物」として売り出す。
- 建設・内装業なら:「50代からの目が疲れない照明リフォーム」を提案する。
- 小売業なら: 値札の文字サイズを1.5倍にするキャンペーンを打つ。
「お客様の目のピントが合わないなら、我々がお客様の方へピントを合わせにいく」
この姿勢こそが、新しい商機を生みます。
参謀からのエール
【本日のまとめ】
- 「アイフレイル」の認知は低いが、潜在的な悩みを持つ顧客は市場の大半を占める。
- 「見えにくい」という我慢を取り除くことは、福祉ではなく立派な差別化戦略である。
- まずは自社の商品を「薄目」で見ることから始めよう。そこに改善の種がある。
経営者の皆さん。
「見えない」ことは不安です。それはお客様も、現場の社員も同じ。
だからこそ、その不安にいち早く気づき、手を差し伸べられる企業が選ばれます。
もし、「ウチの業界なら、どうやって『見やすさ』を武器にできるだろう?」と迷ったら、いつでも声をかけてください。
一緒に現場で汗をかき、御社だけの「勝ち筋」を見つけましょう。

























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