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妻の買い物カゴが教えてくれる「消費の現場」
名古屋の自宅にて。 年末が近づき、我が家では妻がものすごい勢いで食料を買い込んでいます。
大学生の息子たちが帰省してくるからです。 普段、夫婦二人と愛犬との生活なら絶対に買わないような量の肉、肉、肉。そして米。 冷蔵庫が悲鳴を上げそうなその光景を見て、私はふと思いました。
「同じ『夕食』でも、誰と食べるかで『必要なもの』は劇的に変わるんだな」と。
夫婦二人なら「質素で体にいいもの」が一番の価値ですが、食べ盛りの(あるいは久しぶりの実家で羽を伸ばしたい)息子たちがいれば、「ボリュームとガッツリ感」が正義になります。
実はこれ、ビジネスでも全く同じことが言えるんです。 「モノ」は同じでも、「食べるシーン」や「置く場所」を変えるだけで、全く別の価値が生まれる。
今日は、そんな「視点のずらし方」を、明治のユニークな新商品から紐解いていきましょう。中小企業が明日から使えるヒントがここにあります。

ヨーグルトを「豆腐売り場」に置くという戦略

先日、日経MJに面白い記事が出ていました。 明治が「豆腐のようなヨーグルト」を発売し、計画の1割増で売れているというニュースです。
「ヨーグルトなのに豆腐?」 一見、奇をてらった商品に見えますが、元・通販会社の苦情係として「お客様の心理」に向き合ってきた私から見ると、これは極めて理にかなった、したたかな戦略だと感じます。
なぜなら、明治は「朝の激戦区」から逃げたからです。

1. 「時間」をずらす
従来のヨーグルトは「朝食」の王様です。しかし、市場は成熟し、これ以上の大きな伸びは期待しにくい。そこで明治は、ターゲットを「夕食の副菜・おつまみ」にずらしました。 「夜も健康的なものを食べたいけれど、冷奴ばかりじゃ飽きる」という、今まで満たされていなかった「痛み(不満)」に目をつけたのです。
2. 「場所」をずらす
ここが最大のポイントですが、この商品は「豆腐売り場」に置かれています。 ヨーグルト売り場に置けば、自社の「ブルガリアヨーグルト」と客を奪い合う(カニバリゼーション)だけ。しかし、豆腐売り場なら「豆腐の代わりの新しい一品」として、新しい市場を創れます。
「商品は変えず、文脈(コンテキスト)を変える」

これこそが、明治がやったことの本質です。 我々中小企業には、何年もかけて新成分を開発する予算も時間もありません。しかし、「今ある商品を、違う時間、違う場所で売る」ことなら、明日からでも考えられますよね。
明日からできる「泥臭い」第一歩
「うちは食品メーカーじゃないから関係ない」 そう思われた経営者の皆さん、ちょっと待ってください。この考え方は、どんな業種にも応用できます。
例えば、タクシー会社。「移動手段」として見れば競合だらけですが、「動く個室」と捉えれば、会議室にも休憩所にもなります。 例えば、製造業。「部品」として納品すれば価格競争ですが、「試作スピード」を売れば開発支援サービスになります。
明日、会社に行ったら、ぜひ現場の社員にこう聞いてみてください。
「うちの商品、本来の使い方『以外』で使っているお客さん、いないかな?」
通販の苦情対応時代、私はよくお客様から「想定外の使い方」を教わりました。 「この健康器具、洋服掛けにちょうどいいのよ」なんて笑い話の中に、実は「頑丈なハンガーラック」という新商品の種があったりするものです。
自社の強みを再定義するための、小島流の簡易フレームワークを置いておきます。会議のホワイトボードに書いてみてください。
【商売のずらし方 3つの視点】

- 時間のずらし:朝用を夜用にできないか?(例:朝専用缶コーヒー → 夜のリラックス用デカフェ)
- 場所のずらし:会社用を家庭用にできないか?(例:業務用洗剤 → 家庭の頑固汚れ用)
- 相手のずらし:主役を脇役にできないか?(例:メイン商材 → 他社商品のメンテナンス部隊)
参謀からのエール
「新しいことを始めるのに、新しい商品は必要ありません」
必要なのは、今あるものを「別の角度」から見る好奇心と、少しの遊び心です。 明治のような大企業でさえ、必死に「空いている席(市場)」を探しています。小回りの利く我々中小企業が、同じ土俵で正面衝突している場合ではありません。
あなたの会社の倉庫に眠っているその商品、もしかしたら「豆腐売り場」のような、意外な輝ける場所が待っているかもしれませんよ。
もし、「ずらし方が分からない」「アイデアの壁打ち相手が欲しい」という場合は、いつでもウィッテムの小島に声をかけてください。一緒に、あなたの会社の「埋蔵金」を掘り起こしましょう。
【付録】経営者が朝礼で社員に語る「30秒メッセージ」
(※明日の朝礼で、そのまま読んでみてください)
おはようございます。 今日は少し「視点」の話をします。 先日、明治が「豆腐売り場に置くヨーグルト」を発売してヒットしているそうです。「ヨーグルトは朝食べるもの」という常識を捨てて、「夜のおつまみ」として提案したのが勝因だとか。
ひるがえって、我が社の商品はどうでしょうか? 「これは〇〇業界向けの部品だ」「これは〇〇するためのサービスだ」と、私たち自身が勝手に決めつけていないでしょうか。
お客様の中には、私たちが驚くような使い方をしている人がいるかもしれません。 今週は、お客様との会話の中で「これ、他にどんな使い方ができそうですか?」と、ちょっと雑談ベースで聞いてみてください。そこに、次の新事業のヒントがあるはずです。 今日も一日、頭を柔らかくしていきましょう!

























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