
こんにちは。ウィッテムの小島です。
名古屋の冬も本格的に冷え込んできましたね。みなさん、年末年始はいかがお過ごしでしたか?
私は年末、久しぶりに帰省した大学生の長男と一緒に、宅飲み用の買い出しに行きました。 彼はもう一人暮らしをして4年になります。「好きなものをカゴに入れろよ」と言ったのですが、彼が選ぶのは「お買い得品」のシールが貼られたものばかり。高額な商品には目もくれません。
正月価格で少し値が張る刺身を私が手に取ろうとすると、彼がボソッと言いました。 「父さん、正月は人件費も高いからね。値段が上がるのは仕方ないよ」
その言葉に、親バカながら「お、大人になったな」としみじみ成長を感じると同時に、ハッとさせられました。 今の若い世代、そして生活者の多くは、シビアに「価格と価値」のバランスを見ています。私の息子のように「納得できる価格か、それとも無駄な出費か」を厳しくジャッジしているのです。
一方で、世の中には「高くても、どうしてもそれが欲しい」という富裕層やインバウンド(訪日客)の熱烈な需要も存在します。
今日ご紹介したいのは、まさにこの「市場の二極化」の中で、私たち中小企業がどこに活路を見出すべきか、という話です。 2026年元旦の日経MJに掲載された、バリューマネジメント・他力野淳社長のインタビュー記事から、そのヒントを紐解いていきましょう。
この記事を読み終わる頃には、皆さんの会社の倉庫に眠っている「ガラクタ」が、実は「ダイヤモンドの原石」に見えてくるはずです。
「不便」こそが、最高の贅沢になる時代
記事の中で、他力野社長は非常に興味深いことをおっしゃっています。
「中国人客は減少するがそれ以外は堅調」
「国内客は二極化」
「高所得層は第二のふるさとを見つけようとする人もいる」
そして、京都のオーバーツーリズム(観光公害)に触れつつ、これからは「分散」、つまり地方にこそチャンスがあると断言しています。愛媛県大洲市のように、古民家をホテルにして地域の魅力を高める例を挙げ、「観光とは光を観ること。地域においてダイヤモンドの原石は何なのか」と問うています。
私は元々、通販会社の苦情対応部署にいました。毎日、お客様からの「怒り」や「悲しみ」の声を受け止めるのが仕事です。その経験から確信していることがあります。
「お客様の『不満』の裏側にこそ、最大のビジネスチャンスがある」
今、富裕層や外国人観光客が感じている「不満(痛み)」は何でしょうか? それは、有名な観光地に行っても「人が多すぎる」「どこも画一的でつまらない」「日本本来の静けさや文化を感じられない」というストレスです。
都会や有名な観光地が「便利で、きらびやか」であればあるほど、その逆の「不便で、静かで、古いもの」の価値が跳ね上がります。
記事にある「古民家」や「地方の暮らし」は、かつては「古い」「何もない」というネガティブな要素でした。しかし、視点を変えれば、それは「まだ誰も手をつけていない、手垢のついていない本物の日本」という、最高の贅沢品になるのです。
これは観光業だけの話ではありません。 製造業でも、小売業でも同じです。
- 大手企業が捨てた「手のかかる工程」
- 効率化の名の下に排除された「無駄な雑談」
- 倉庫の隅で埃をかぶっている「昔の金型」
これらは、「コスト」でしょうか? いいえ、見る角度を変えれば、特定の誰かにとっての「ダイヤモンドの原石」になり得るのです。
「磨く」とは、ターゲットを変えること
記事の中で「曇ったダイヤを磨き、体験価値に変える」という言葉があります。 多くの中小企業経営者の方は、「磨く」=「商品を高性能にする」「最新設備を入れる」と考えがちです。
しかし、私の考える「磨く」は少し違います。 「その価値を、最も高く評価してくれる相手の目の前に置くこと」です。
私の息子のように「コスパ」を重視する層に、高付加価値な体験を売ろうとしても響きません。逆に、富裕層に「安さ」をアピールしても見向きもされません。
自社の持っているリソース(技術、場所、歴史、人)を、「誰が」一番欲しがっているのか。 そのマッチングの精度を上げることこそが、我々参謀の仕事であり、経営者の手腕なのです。
明日からできる「泥臭い」第一歩
では、具体的にどうすればいいのか。 予算をかけず、明日からすぐにできるアクションを提案します。
それは、「自社の『ネガティブ』をリストアップし、言い換える」という作業です。
私がコンサルティングの現場でよく使う、シンプルな思考フレームワークをご紹介します。
【ウィッテム流:価値の転換フレームワーク】
書き出す: 社員が「うちはここがダメだ」「古くて恥ずかしい」と思っていることを書き出す。
主語を変える: それを「〇〇な人にとっては」という主語をつけて見直す。
言い換える: ネガティブな言葉をポジティブな価値に変換する。
(例)
【弱み】交通の便が悪く、周りに何もない工場。
↓
【転換】都会の喧騒に疲れた人にとっては…
↓
【価値】デジタルデトックスができ、星空が一番きれいに見える場所。
まずは明日の朝、現場の社員さんにこう聞いてみてください。
「うちの会社でお客さんに『不便だ』『古い』って言われること、あるいは君たちが『隠したい』と思っていることは何?」
その答えの中に、次の新規事業の種(ダイヤの原石)が必ず隠されています。 きれいに整った会議室ではなく、埃っぽい現場の声にこそ、真実があります。
参謀からのエール
市場は二極化し、中途半端なものは淘汰される時代です。 しかし、恐れることはありません。 「ないものねだり」をやめて、「あるもの探し」を始めましょう。
あなたの会社の「痛み」や「弱み」こそが、誰かにとっての「救い」になる可能性があります。 もし、原石の見つけ方が分からなければ、いつでも声をかけてください。一緒に汗をかきながら、泥だらけになって探しましょう。
【付録】経営者が朝礼で社員に語る「30秒メッセージ」
(※明日の朝礼で、そのまま読み上げてください)
おはようございます。 今日は一つ、みんなにお願いがあります。 この会社の中にある「古いもの」「面倒なもの」「一見ダメに見えるもの」を、もう一度見直してみてほしいんだ。
世の中では今、ピカピカの新品よりも、歴史や物語のある「本物」が求められ始めている。 私たちが「弱み」だと思っていたことが、実は外の人から見れば「宝物」かもしれない。
「うちはこれがダメだから」と諦めるのではなく、「これを面白がってくれるのは誰だろう?」と一緒に考えていこう。 みんなの現場の気づきが、会社の次の柱を作る。期待しています。

























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