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「うちの業界には関係ない」が命取り。水筒に指紋認証がついた本当の理由

こんにちは。名古屋から、中小企業のための社長参謀の小島です。

突然ですが、私は無類のガジェット好きです。変わった機能がついている物を見ると、ついポチッと買って試したくなってしまう性分でして。もちろん、使い物にならずにお蔵入りした「失敗作」も山のようになりますが、中には生活を変えるほどの「大ヒット」もあります。

最近の個人的な大ヒットは、Wi-Fi接続の防犯カメラです。高額なセキュリティ会社と契約しなくても、スマホひとつで自宅の様子を常時監視できる優れもの。今や我が家に死角はなく、ウッドデッキで無防備に昼寝をしている、シェパード似の茶色い愛犬の姿もいつでも眺められます。

なんだかんだと買い足すうちに、すっかり自宅がスマートホーム化してしまいました。あまりに次々と変なものを導入するので、50代の妻からは「いい加減にしてよ!」とお叱りを受けることもあるのですが……結局のところ、外出先からペットカメラを一番ニコニコしながら見ているのは妻だったりします(笑)。

さて、なぜこんな日常の話をしたかというと、「人間の根本的な不安を解消する機能(=防犯・見守り)」は、理屈を超えて人の心を動かすということをお伝えしたかったからです。

今日は、ある「変わったガジェット」のニュースから、私たち中小企業が新規事業を生み出すための「泥臭いヒント」を読み解いていきましょう。

美容家電メーカーが「水筒」を作った理由

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皆さんは、「指紋認証で開く水筒」が1万本以上も売れているというニュースをご存知でしょうか?

美容家電やアパレルを手がけるハスラックという企業が開発した「c-mon(シーモン)」という商品です。価格は約7,000円。決して安くはありませんが、今年1月の特許取得を経て、2029年までに10万本の販売を目指すほどの勢いがあります。

ここで、経営者の皆さんなら当然の疑問が湧くはずです。 「なぜ、畑違いの美容家電メーカーが、わざわざ水筒市場に参入したのか?」と。

実はこの商品、2024年に都内の小学校で発生した、児童の水筒への「異物混入事案」を機に開発がスタートしたそうです。

私はかつて、通販事業の苦情対応部署で、連日お客様の怒りや悲しみの声に向き合い続けてきました。その経験から、一つの強烈な信念を持っています。 それは、「お客様の切実な声(特に痛みや恐怖)こそが、最大の経営資源である」ということです。

この水筒は、単なる「飲み物を保温する容器」ではありません。 親が子どもを守りたいという「強烈な恐怖と痛みを解消するための、安心担保デバイス」なのです。

「痛み」を起点にすると、新しい市場が勝手に開く

さらに面白いのは、この水筒が「子どものいたずら防止」という本来の目的を超えて、全く別の層から強烈な引き合いを受けている点です。

  • フリーアドレスのオフィスで、水筒を置いたままトイレに行く大人たち。
  • 厳格なドーピング検査が求められる、現役のトップアスリートたち。
  • コンペの賞品として喜ぶゴルファーたち。

これこそが、「あるものを活かして、ないものを創る」醍醐味です。 特定の深い「痛み」を解決するプロダクトは、似たような痛みを抱える別の市場へと、まるで水が流れるように自然に浸透していきます。

「うちの業界は飽和している」「大手が強くて勝てない」と嘆く前に、一度立ち止まって考えてみてください。 あなたが見ているのは「商品」ですか? それとも「お客様の痛み」ですか?

明日からできる「泥臭い」第一歩

「小島さん、理屈はわかった。でも、何から手をつければいいんだ?」

そんな声が聞こえてきそうですね。私は机上の空論が大嫌いな実践家ですので、明日から、いや、今日から予算ゼロでできる具体的なアクションをご提案します。

それは、「新規事業のアイデア出し会議」をやめることです。 会議室で唸っても、出てくるのは他社の二番煎じだけ。現場に入り込みましょう。

まずは、お客様のクレーム履歴をすべて引っ張り出してください。あるいは、現場の営業マンを捕まえて、コーヒーでも奢りながらこう聞いてみてください。 「最近、お客さんがポロッとこぼした『めんどくさい』とか『ちょっと怖い』って話、何かある?」と。

【小島流・痛みの発掘フレームワーク】

❶観察: 自社の商品・サービスに関連して、顧客が「密かに恐れていること」「諦めていること」は何か?

❷深堀: クレームの一歩手前にある、「わざわざ言うほどでもない不満」はどこにあるか?

❸転用: その「痛み」を、自社の既存リソース(技術・ノウハウ・人脈)を少しズラすだけで解決できないか?

新規事業とは、天才的なひらめきから生まれるものではありません。 泥臭く現場を歩き、落ちている「痛み」を拾い集め、自社の強みと掛け合わせる地道な作業の結晶です。

参謀からのエール

本日のまとめです。

  1. 新規事業の種は、会議室ではなく「お客様の痛み・恐怖」の中にある。
  2. 特定の深い不安を解消できれば、異業種参入でも必ず市場は開ける。
  3. まずは現場の「小さな不満」や「面倒くさい」を拾い上げることから始めよう。

変化の激しい時代、既存事業の延長線上に確かな未来はありません。しかし、過度に恐れる必要もありません。あなたの会社がこれまで培ってきた技術や信頼は、視点を変えれば必ず「誰かの痛みを解決する武器」になります。

「アイデアの破壊力で今を変える」。 もし、自社だけでは痛みの見つけ方がわからない、アイデアを形にする壁打ち相手が欲しいと感じたら、いつでもお声がけください。

隣で一緒にコーヒーを飲みながら、あなたの会社の「強み」と「お客様の痛み」を繋ぐ方法を、泥臭く一緒に考えましょう。

社長参謀 小島


【付録】経営者が朝礼で社員に語る「30秒メッセージ」

(※この記事の内容を、明日の朝礼で社員の皆さんに伝える際の原稿案です。ご自身の言葉にアレンジしてご活用ください。)

「おはようございます。最近、指紋認証で開く水筒がバカ売れしているそうです。これ、元々は『子どもの水筒に異物を入れられるのが怖い』という親の切実な不安から、美容家電メーカーが作ったものなんです。 これを聞いて、私はハッとしました。私たちが普段見ているのは『競合の商品』ばかりで、『お客様の痛みや不安』を見落としていないだろうか、と。 皆さんが現場で聞くお客様の『ちょっとした不満』や『面倒くさい』という言葉にこそ、私たちの次のビジネスの種が眠っています。些細なことでも構いません。何か気づいたことがあれば、ぜひ私に教えてください。今日も一日、お客様の小さな声に耳を傾けていきましょう。よろしくお願いします!」

小島章裕

元・苦情係の社長参謀、企画力が強み。創業2001年、事業開発で企業を強くする会社を経営。毎日200件のクレーム対応で培った顧客目線を武器に、経営者の右腕、現場の伴走者として事業開発と組織変革を支援。お客様の痛みを知るからこそ、血の通った戦略で貴社の挑戦を支援します。趣味はウルトラマラソン&トレイルラン。

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