実は私、3ヶ月に一回のペースで歯科に通っています。
行く前は正直、「あー、面倒だなぁ、忙しいのに」なんて思うんです。でも、診察が終わると受付でスッと次の予定を入れて、またきっちり3ヶ月後に足を運んでしまう。気がつけば、もう10年以上通い続けています。
長く通っているから、小さな虫歯や治療箇所が見つかってもすぐに治せて、結果的にとても助かっています。何から何まですっかりお任せ状態です。
でも、私が通い続ける一番の理由は、そこじゃないのかもしれません。行くたびに、歯科衛生士さんが「いつも綺麗に磨かれていますね」って褒めてくれるんです。
大人になると、ましてや54歳ともなると、日常で誰かに真っ直ぐ褒められることなんて、そうそうありませんよね。だから、ただ純粋に嬉しいのです。技術や設備はもちろん大事ですが、結局のところ「自分のことを見ていてくれる」「認めてくれる」という人肌感が、足を運ばせる最大の動機になっている気がします。
なぜ今日、こんな話をしたのか。
実は、ビジネスの世界でも全く同じことが起きているからです。お客様が求めているのは、「機能の提供」だけではありません。その裏にある「不安や痛みの解消」、そして「心地よさ」なのです。
今日は、日経MJの「医療モールの進化」に関するニュースを題材に、中小企業が明日から使える「お客様の痛みを拾い上げる新規事業のヒント」について、一緒にコーヒーでも飲みながら考えていきましょう。
ニュースの深読みと「問い」
今回のニュースは、複数のクリニックが集まる「医療モール」が全国で3000施設を突破し、単なる「場所の寄せ集め」から、電子カルテの共有や高額機器のシェアなど「ワンチームでの連携」へと進化している、という内容でした。

これ、中小企業の経営者にとって、非常に大きな学びが隠されています。
私はかつて、通販会社の「苦情対応部門」に配属されていました。毎日毎日、お客様の怒りや不満を全身で受け止める泥臭い現場です。そこで骨の髄まで学んだのは、「お客様の声、特に『痛み』にこそ最大の経営資源が眠っている」という事実でした。
患者さん(お客様)にとって、最大の痛みとはなんでしょうか? それは「病気を治すこと」以前に、「どこに行けばいいか分からない」「何度も同じ説明をするのが面倒」「たらい回しにされる不安」なのです。
これまでの医療モールは、単に「内科と眼科が同じビルにある」だけでした。しかし、最先端のモールは違います。内科で診た患者が急変したら、同じモール内の脳神経外科が即座にMRIを回す。情報を連携し、患者の「たらい回しの痛み」を消し去っているのです。
これを、皆様の会社に置き換えてみてください。
自社の事業や部署は、お客様から見て「ただの寄せ集め」になっていませんか?
「それは営業の担当なので」「そちらはアフターサポートの窓口へ」と、お客様に面倒なバトンを渡していませんか?お客様の痛みを先回りして解決する「ワンチーム」になれた時、それはもう立派な新しい事業の柱(付加価値)になるのです。高度な理論や、莫大なシステム投資は必要ありません。必要なのは、お客様の感情を繋ぐ仕組みです。
実践:明日からできる「泥臭い」スタート
「連携が大事なのはわかった。でも、うちにはそんな高度なシステムを入れる予算はないよ」
そんな声が聞こえてきそうですね。大丈夫です。机上の空論を嫌う「社長参謀」として、明日から現場で、予算ゼロでできる泥臭い第一歩をご提案します。
まずは、現場の社員(営業でも、受付でも、現場作業員でも)にこう伝えてみてください。
「お客様が、うちの商品を使う『前』と『後』に、どんな愚痴をこぼしていたか教えてくれないか?」
ここにすべてのヒントがあります。
【小島流・痛みのバトンリレー思考】
❶「管轄外」を禁句にする
お客様からの「ついでのお願い」や「ちょっとした困りごと」を、「うちの仕事じゃない」と切らない。社内の別の人間、あるいは信頼できる社外のパートナーに直接繋ぐ。
❷「見えないカルテ」を回す
担当者を引き継ぐとき、単なる業務連絡だけでなく「このお客様は今、こんな不安を抱えている」という感情のカルテも一緒に引き継ぐ。
❸おせっかいを仕組み化する
歯医者で褒められた私のように、「そこまで見てくれているの?」という小さな感動を、業務フローの中に一つだけ組み込む。
おまけ:小島流「味変アイデア」
ちなみに… 今回の医療モール、美容や食テナントの併設も進んでいるとのことですが、私ならここに「タクシー会社との専用連携」を加えます。
高齢の患者さんにとって「病院までの移動」は治療と同じくらい大きな痛みです。モール専用の送迎タクシーを用意し、乗務員とクリニックで「今日の患者さんの歩行状態」などの情報を少しでも共有できたらどうでしょう。ドア・ツー・ドアで痛みをなくす、最強のワンチームになると思いませんか?
「あるものを活かして、ないものをつくる」。ウィッテムがいつも大切にしている視点です。
参謀からのエール
今回のエッセンスを3行でまとめます。
- お客様は「機能」ではなく「痛みの解消と安心」にお金を払う。
- 部署やサービスの「縦割り」を壊し、お客様を中心にした「ワンチーム」を作る。
- 明日から現場で、お客様の「前後の愚痴」を拾い集める。
新規事業は、どこか遠くから降ってくるものではありません。今、あなたの目の前にある泥臭い現場の「痛み」の中に、すでに芽吹いています。
事業の先行きに不安を感じたら、いつでも声をかけてください。 一緒に現場に入り込み、汗をかきましょう。あなたの会社の、そしてお客様の「痛み」を、ぜひ私に教えてください。




























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