中小企業の経営者が口では「うちの社員はアイデアを提案してこない」と嘆きながら、本音では社内に専門の企画マンを置くことや、活発な提案を必ずしも望んでいない、という矛盾した心理。その背景には、中小企業特有の構造的・心理的な事情が複雑に絡み合っています。その主な理由として3つ考えられます。
ウィッテムの企画参謀の小島です。
今回は【第1話】をご紹介します。
<経営者の心理>
経営の主導権を渡したくない(自分が一番の企画マンだという自負)
多くの中小企業は、経営者自身の強力なリーダーシップやアイデア、才覚によって創業され、成長してきました。そのため、経営者は「この会社のことは自分が一番よく分かっている」「事業の舵取りは自分で行うべきだ」という強い自負と自負心を持っています。
このような経営者にとって、社員からの提案は自らの経営方針への「挑戦」や「口出し」と映ることがあります。また、意思決定のプロセスに他者が介在することで、トップダウンならではの迅速な判断が鈍ることを嫌います。社員からのボトムアップの企画を待つよりも、自らが考え、即断即決で事業を進める方が効率的で確実だと考えているのです。
つまり、口では「アイデアが欲しい」と言いつつも、それはあくまで自分の考えを補強・追認してくれるレベルのものを指しており、経営の根幹を揺るがすような新しい企画を本心から求めているわけではない、というケースです。
<課題>
経営者が「自分が一番の企画マン」と自負し、社員の提案を本質的に求めていない。
<解決策>
経営の主導権への固執から脱却し、「監督」に徹する
この課題の根底にあるのは、経営者の成功体験と、それゆえの「自分が全てをコントロールしたい」という心理です。これを乗り越え、社員の力を引き出すためには、経営者自身の意識改革と役割の再定義が不可欠です。
1.意思決定の「領域」を明確に分ける
経営者が決めるべき「会社の進むべき方向性(ビジョンや中期経営計画)」と、社員がアイデアを出すべき「具体的な戦術や改善策」の領域を明確に切り分けます。経営者は「何を目指すのか(What)」という大きな旗を振り、その旗にたどり着くための「どうやって(How)」の部分は、積極的に社員に任せるというスタンスを明確にしましょう。これにより、社員は「自分たちの役割」を認識し、安心して提案できるようになります。
2.「壁打ち相手」に徹する時間を作る
社員からの提案に対して、最初から「評価者」として臨むのではなく、アイデアを育てる「壁打ち相手(メンター)」になることを意識します。定期的に「アイデア相談会」のような時間を設け、「そのアイデア面白いね、どうすれば実現できるか一緒に考えてみようか」という姿勢で対話します。経営者の豊富な経験を、アイデアを潰すためではなく、磨き上げるために使うのです。
3.小さな権限委譲から成功体験を積ませる
いきなり大きな事業の企画を丸投げするのではなく、まずは一部の業務改善や小規模なプロジェクトのリーダーを任せてみましょう。社員が自らの裁量で物事を進め、成功させるという体験は、自信と責任感につながります。経営者にとっても、社員を信頼して任せることのメリットを実感できる貴重な機会となります。
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