アイデアの破壊力に、ゾクゾクする毎日を。

「事業開発」で企業を強くする会社

メール相談
リアル面談
WEB壁打ち
アイデア
note

【新規事業】なぜ、その「不良品」はバカ売れしたのか?ーー「小さな不満」を金脈に変える、泥臭い思考法

画像

みなさん、こんにちは。 社長参謀の小島です。

突然ですが、冬のスーパーのサッカー台(袋詰め台)で、こんな絶望を味わったことはありませんか?

「レジ袋が、めくれない」

指先が乾燥していて、ビニールが滑るだけ。 後ろには次のお客さんが待っている。「早くしなきゃ」と焦るほど、袋の口は頑として開かない。 結局、備え付けの濡れ布巾やスポンジに指を押し付ける……。 衛生的にちょっと抵抗があるけれど、背に腹は代えられない。

あの瞬間の「情なさ」と、商品に対する小さな「怒り」。 実はここに、数億円規模の新規事業の種が落ちていました。

画像

今日は、ある「常識破りの商品」を事例に、我々中小・中堅企業が明日から使える「顧客の痛み(ペイン)を金脈に変える視点」についてお話しします。

机上の空論はいりません。 現場の話をしましょう。

業界の「タブー」が、顧客の「救世主」になった

伊藤忠リーテイルリンクという会社が開発した、「ズレータ」というレジ袋をご存知でしょうか?

画像

名前の通り、袋の口の左右が数ミリ「ずれて」いるんです。 段差があるから、指でつまんで引っ張るだけで、乾燥した指でも一発で開く。

「なんだ、そんなことか」と思いましたか? しかし、この商品の真の凄みは、アイデアそのものではなく、「製造業のプライドを捨てたこと」にあります。

実は、レジ袋の製造現場において「左右がずれている」というのは、これまで【不良品】の扱いでした。 技術者たちは長年、いかに「ずれないように」綺麗に揃えて作るか、その精度を競っていたのです。

ところが、この開発チーム(実は美大生とのコラボでした)は、その業界の常識をひっくり返しました。

「最初からずらしておけば、すぐ開くんじゃないですか?」

この問いが、全てを変えました。 新しい設備投資をしたわけではありません。機械の設定を少し変えて、あえて「不良品の状態」を作っただけです。

コストをかけず、視点を「業界の常識」から「顧客のストレス」にずらしただけで、その商品はスーパーやドラッグストアから引く手あまたのヒット商品になりました。

「そこ?」と言われる場所にこそ、勝機がある

なぜ、この話が経営者の皆さんにとって重要なのか。 それは、私たちが普段、いかに「プロの常識」という色眼鏡で自社商品を見ているかを示しているからです。

画像

我々は長く商売をすればするほど、「良い商品」の定義を勝手に決めてしまいます。

  • 精度が高いこと
  • 均一であること
  • 多機能であること

ですが、お客様(生活者)はそんなスペックを求めていないことが多い。 彼らが求めているのは、「ストレスなく、目的を果たせること」。ただそれだけです。

この記事では他にも、こんな事例が紹介されています。

  • 「10枚まとめてセットできるゴミ袋」(ゴミ袋の取り換えが面倒、という痛みの解消)
  • 「最初からチャックが少し開いている袋」(密閉性が完璧すぎて開けにくい、という痛みの解消)

これらは全て、大手企業が狙うような大規模なトレンドではありません。 しかし、生活者が毎日感じている「プチストレス」です。

「そこ?」と驚かれるようなニッチな場所。 そこにこそ、大手が入ってこられない、そして顧客が「これだよ、これが欲しかったんだ!」と歓喜する高収益な鉱脈が眠っています。

新規事業の種を見つける「小島流・観察眼」

画像

では、どうすれば自社でこの「ズレータ」のような種を見つけられるか。 会議室でブレストをしていても見つかりません。現場に行きましょう。

私なら、明日、現場の社員や営業マンにこう指示を出します。

「お客様が、うちの商品を使う『直前』と『直後』の『余計な動作』を10個探してこい」

商品の感想を聞くのではありません。 お客様が無意識にやっている「動作」を観察するのです。

  • 直前の動作: レジ袋で言えば、「指をスポンジで濡らす」という動作。
  • 直後の動作: 例えば、「使い終わった後に小さく畳むのに苦戦している」動作。

説明書を読む前に溜息をついていないか? 開封のためにカッターを探し回っていないか?

この「眉間にシワが寄る瞬間」に気づけるかどうかが、参謀としての、そして経営者としての分かれ道です。

最後に:今すぐ「不良品」の定義を疑え

今日のまとめです。

業界にとっての「不良品」は、顧客にとっての「必需品」かもしれない。

画像

皆さんの会社にも、きっとあります。 「そんな使い方は邪道だ」「それは技術的に美しくない」と切り捨ててきたアイデアが。

もし、社内の常識に縛られて息苦しさを感じているなら、一度その「常識の枠」をあえてずらしてみてください。 「あえて閉めない」「あえて揃えない」。 その不格好さの中に、次の10年を支える事業の種があるはずです。

変化を恐れず、泥臭く。 まずは明日、現場でお客様の「手元」をじっと見つめることから始めませんか?


画像

小島章裕

元・苦情係の社長参謀、企画力が強み。創業2001年、事業開発で企業を強くする会社を経営。毎日200件のクレーム対応で培った顧客目線を武器に、経営者の右腕、現場の伴走者として事業開発と組織変革を支援。お客様の痛みを知るからこそ、血の通った戦略で貴社の挑戦を支援します。趣味はウルトラマラソン&トレイルラン。

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事

PAGE TOP