両家の両親が、気づけば80歳を超えました。我が家は実家に近いこともあり、週末になると妻と、愛嬌たっぷりの茶色い大型犬を車に乗せて、顔を見に行くのがすっかり習慣になっています。
会えばいつも元気そうで安心するのですが、一つだけ、ずっと胸の奥で引っかかっている心配事があります。それは、親の自動車の運転です。
本音を言えば、もう危ないから運転免許は返納してほしい。でも、彼らが住んでいるのはいわゆる田舎です。歩いて行ける距離にスーパーはおろか、自転車で行ける距離にコンビニすらありません。車がなければ、文字通り「生活が成り立たない」のです。だから、仕方がなく、おっかなびっくり運転を続けている。
この親の姿を見るたびに、私は「これは我が家だけの問題ではなく、日本中にある強烈な『痛み』だな」と感じていました。
そんな矢先、日経新聞で非常に興味深い記事を目にしました。あのカー用品大手の「オートバックス」が、運転免許不要の電動モビリティ(キックボードや自転車タイプなど)の販売に本腰を入れているというニュースです。
なぜ、カー用品を売る会社が「車に乗らない人」をターゲットにし始めたのか?
本日は、このニュースをフックにして、「既存事業の先行きに不安はあるが、何から手をつけていいか分からない」と悩む経営者の皆様へ、明日からできる新規事業の種の見つけ方をお話しします。
この記事を読み終える頃には、あなたを縛っている「自社の業界の常識」が外れ、自社の顧客のなかに眠る「宝の山」に気づけるはずです。
オートバックスが「車に乗らない人」を客にする理由

オートバックスといえば、オレンジ色の看板でおなじみ、タイヤやオイル、芳香剤を売る「車を持っている人のお店」です。しかし彼らは今、免許がなくても乗れる自転車型のモビリティや、3輪EVに力を入れています。
記事の中で、担当課長はこう語っています。 「コロナ前後で車に対する消費者の価値観は大きく変化した。車じゃない日常モビリティーで何かできないかと考えるようになった」
ここには、強烈なパラダイムシフトがあります。彼らは自社の事業を「カー用品の販売」から「人々の移動(モビリティ)を支えること」へと再定義したのです。
私はかつて、通販事業の苦情対応部署で、毎日お客様の怒りや悲しみに向き合っていました。そこで骨の髄まで学んだことがあります。それは、**「お客様の声(特に痛み・不便・不満)にこそ、最大の経営資源が隠されている」**ということです。
オートバックスも同じです。「車を運転できなくなったら、どうやって買い物に行けばいいんだ?」という、まさに私の両親が抱えているような切実な「痛み」に焦点を当てたのです。
車に固執していては、免許を持たない高齢者や、車離れが進む若者は永遠に顧客になりません。しかし、「移動したいけれど手段がない」という社会構造の変化と顧客心理を読み解くことで、「免許不要のモビリティ」という新しい市場を自らの手で切り拓きました。
中小企業の経営者であるあなたが今、問うべきことは一つです。 「我が社は、『自社の商品』を売ることに固執するあまり、お客様の本当の『痛み』を見過ごしていないか?」
予算ゼロで明日からできる!自社の「当たり前」を疑う泥臭い一歩
「オートバックスのように資本力がある大企業だからできるんだ。うちみたいな中小企業には無理だよ」 そう思われたかもしれません。断言します。それは違います。
弊社ウィッテムも、2001年の創業から間もなく25年の節目を迎えます。時代に合わせて第二創業の覚悟で自らを壊し、創り変えてきました。新規事業は、お金をかければ当たるものではありません。一番の武器は、経営トップが自ら泥臭く現場の「声」を拾い上げる行動力です。
明日から、以下のステップを試してみてください。高尚な理論は不要です。
【小島流・新規事業の種を見つける「痛み」発掘フレームワーク】
- 現場の最前線に「クレーム」を聞く
明日の朝、営業マンや窓口担当者にこう聞いてください。「最近、うちの商品やサービスに対して『こういうことができたらいいのに』とか『ここが面倒なんだよね』とボヤかれたことはないか?」
褒め言葉は無視して構いません。探すべきは「チッ」という舌打ちの裏にある不満です。 - 「離反客」の理由を深掘りする
過去に取引があったけれど、最近ぱったりと注文がなくなったお客様を3件リストアップし、社長自ら電話か訪問をしてください。
「何か失礼がありましたでしょうか?」ではなく、「最近、御社が一番困っている課題は何ですか?」とヒアリングするのです。 - 主語を「商品」から「顧客の目的」に変える
自社を「〇〇を売る会社」ではなく、「お客様の〇〇という痛みを解決する会社」と再定義してみてください。
(例:弁当屋 → 昼食を売る会社 ではなく、午後の仕事の活力を提供する会社)
机の上でウンウン唸って企画書を書いても、答えは出ません。答えは常に、現場の、お客様の日常の中にあります。
参謀からのエール
本日の記事のエッセンスを3行でまとめます。
- 新規事業の種は、技術の革新ではなく「お客様の痛み」の中にある。
- 自社を「何を売っている会社か」ではなく「何を解決する会社か」で再定義する。
- 明日、社長自ら現場の社員や顧客に「不便・不満」を聞きに行く。
新規事業は、決して特別な才能が必要なものではありません。「あるものを活かして、ないものを創る」。これができれば、どんな企業でも必ず新しい柱を立てることができます。
既存事業の先行きに不安を感じているなら、まずはあなたの会社が抱えている、あるいはあなたのお客様が抱えている「痛み」を、私に教えてくれませんか? 社長参謀として、一緒に泥臭く汗をかき、その痛みを「新しい収益の柱」に変えるお手伝いをさせていただきます。
コーヒーでも飲みながら、ざっくばらんにお話ししましょう。
小島
【付録】経営者が朝礼で社員に語る「30秒メッセージ」
(※この記事を読んだ経営者が、翌朝の朝礼でそのまま使えるスピーチ原稿です)
「皆さん、おはようございます。 今朝、オートバックスがキックボードなどの『電動モビリティ』を売って絶好調だというニュースを見ました。カー用品店なのに、車に乗らない人をターゲットにしているんです。なぜか? それは彼らが『車用品を売る』ことではなく、『お客様の移動の不便をなくす』ことに目を向けたからです。
私たちも同じです。私たちが本当に売っているのは、今ある商品そのものではなく、『お客様の悩みを解決すること』のはずです。 今日からぜひ、お客様のちょっとした『不便だな』『面倒だな』というボヤキに耳を澄ませてみてください。そこに、我が社の次のビジネスの種が必ず隠されています。今日も一日、お客様の本当の声に寄り添っていきましょう。よろしくお願いします!」
























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