
社長、質問です。 あなたの会社に「眠っている資産」はありませんか?
例えば、使い道のない古い機材、活用されていないオフィスのスペース、あるいは、経験豊富なベテラン社員が持つ「暗黙知」。
もし、それらを組み合わせるだけで「売上10億円」の新規事業が生まれるとしたら、どうしますか?
「そんなうまい話があるわけない」と思うかもしれません。 しかし、今、日本の地方でそれが現実になっています。
今日は、地方の「何もない」を「宝」に変えた、あるビジネスモデルを紹介します。これは、宿泊業の話にとどまらない、あなたの会社の「新規事業のタネ」に直結する話です。

1. What:今、何が起きているのか?
日経新聞で報じられた「アルベルゴ・ディフーゾ(AD)」という言葉をご存知でしょうか。
簡単に言えば、「街全体を一つの宿に見立てる」というイタリア発の手法です。
宮城県蔵王町の事例が、その凄まじい成果を物語っています。
- 客室:使われなくなった別荘地の「空き家」
- フロント:地元の「カフェ」
- 食堂:近所の「レストラン」
バラバラだった既存の施設を「ホテル」という一つの概念で束ね直したのです。
その結果、どうなったか。
- 売上:10億円
- 宿泊客:年間8万人(うち6割がインバウンド)
- 空き家率:16% → 1〜2%に激減
- リピーター:台湾から30回以上通う猛者も出現
信じられないような数字ですが、これは「ゼロ」から巨大なホテルを建てた結果ではありません。すでにあるものを活用した結果なのです。
2. Why:なぜ、これが「最強のビジネス」なのか?

なぜ、この仕組みが世界中から人を惹きつけ、莫大な利益を生んでいるのか。理由は3つあります。
① 圧倒的な「体験価値」
今の観光客、特に富裕層やリピーターは、ピカピカの観光地より「リアルな日本の日常」を求めています。このモデルは「ホテルに泊まる」のではなく、「街に溶け込む」という圧倒的な体験価値を提供します。泊まる宿が毎回違うため、30回以上通うリピーターまで生まれるのです。
②(ここが最重要)ビジネスモデルの秀逸さ
経営者として注目すべきは、これが「ゼロイチ」のビジネスではない点です。
巨額の設備投資でホテルを新設するのではありません。 すでにある「遊休資産(空き家、既存店、地元の人)」を、一つのルールで束ね直しているだけ。初期投資が極めて低く、リスクが小さい。まさに「賢い」ビジネスです。
③「社会課題」を「収益源」に変えるCSV
蔵王の事例が完璧なのは、地域の福祉事業所と連携し、高齢者や障害者を200人以上も雇用している点です。
「空き家問題」と「地域の雇用問題」という、一見マイナスでしかない社会課題を、見事に収益事業のエンジンに変えています。これこそが本物のCSV(共通価値の創造)です。
3. How:このモデルを「自社の新規事業」にどう活かすか?

「うちはホテル業じゃないから関係ない」
そう思った社長、それこそが最大の落とし穴です。
このビジネスの核は「ホテル運営」ではありません。 バラバラだった資産を束ね、オーナーの「面倒」をすべて引き受ける「プラットフォーマー(HUB)機能」です。
蔵王の運営会社は、物件オーナーの代わりに、
- 旅館業法の許可取得
- 予約サイトへの掲載・販売
- 清掃・管理
といった、最も面倒な実務を一手に引き受けました。 だからこそ、空き家を持っていたオーナーたちがこぞって参加したのです。
さて、あなたの業界に置き換えてみてください。
- 「素晴らしい技術を持っているのに、営業が苦手な町工場」
- 「深い知見はあるが、発信力のないベテラン専門家」
- 「業界特有の複雑な手続きや慣習のせいで、新規参入者が増えない」
そういった「点」は、ありませんか?
あなたの会社が「HUB」となり、彼らの「面倒(営業・マーケティング・経理・法律対応)」を一手に引き受けるのです。
バラバラな「点」である彼らの技術や資産を、あなたの会社が「線」でつなぎ、「新しいパッケージ商品」として市場に売り出す。
あなたが、あなたの業界の「アルベルゴ・ディフーゾ」を仕掛けるのです。
これは宿泊業に限りません。製造業、IT、サービス業、あらゆる業界で応用可能な「水平展開モデル」です。

まとめ:新しい「箱」はいらない。
今日の話をまとめます。
新しい『箱(=設備投資)』はいらない。 今ある『点(=遊休資産)』を束ねる『仕組み(=プラットフォーム)』を作れ。
あなたの会社の周りを見渡してください。 あなたが「束ねる」だけで、価値に変わるものは何ですか?
この記事が、あなたの「新規事業のヒント」になれば幸いです。
#経営 #新規事業 #ビジネスモデル #地方創生 #遊休資産 #プラットフォーム #インバウンド #アルベルゴディフーゾ #CSV #経営者
























コメント