その「おまけ」には、愛がありますか?

その「おまけ」には、愛がありますか?
おはようございます、小島です。
今朝、愛犬との散歩中にふと空を見上げると、冬の澄んだ空気がとても心地よく感じました。 独立した2人の息子たちがまだ家にいた頃は、朝といえば「戦争」のような慌ただしさでしたが、今はこうして妻とコーヒーを飲みながら、静かに思考を巡らせる時間が私の贅沢です。
さて、散歩中にふと思ったのです。 私は「散歩」という運動がしたいのではなく、愛犬と歩くこの「豊かな時間」が欲しいのだな、と。
ビジネスも同じです。 私たち経営者は、つい「商品の性能」や「価格」ばかりに目を向けがちです。しかし、お客様が本当にお金を払いたいのは、その商品を通じて得られる「豊かな時間」や「体験」なのかもしれません。
今日は、ある書店の取り組みを題材に、「本業が厳しい時こそ、脇役に光を当てろ」という話をします。 この記事を読み終える頃には、あなたの会社の倉庫に眠っている「何か」が、宝の山に見えてくるはずです。
「本」ではなく「読書という体験」を売る
今日取り上げるのは、大阪にある「正和堂書店」の事例です。 出版不況と言われて久しい中、この書店は文庫本の売上を3倍に伸ばしました。
鍵となったのは、本そのものではなく、「ブックカバー」と「しおり」です。
「いいね」の数より、足の数
元々、この書店の3代目はSNS発信に力を入れており、フォロワーも数万人いました。しかし、ここで厳しい現実に直面します。 「SNSでバズっても、本は売れない」 お客様は情報はスマホで見て、購入はAmazonで済ませてしまうからです。

これは、多くの中小企業が抱える悩みではないでしょうか。「うちは知名度はあるのに、売上に繋がらない」というジレンマです。
そこで彼らが考えたのが、「わざわざ店に行く理由」を作ることでした。 それが、アイスキャンディーのようなデザインになる「しおりとブックカバーのセット」です。

苦情対応係の視点:「不便」の中に「価値」がある
私はかつて通販会社の苦情対応係として、毎日お客様の「怒り」や「嘆き」を聞いてきました。その経験から断言できることがあります。 「お客様は、機能だけでモノを選ばない。自分の生活を彩ってくれる『相棒』を探している」のです。
正和堂書店の勝因は、本を「情報の塊」から「素敵な時間を過ごすための小道具」へと再定義したことにあります。
- Before: 知識を得るための読書(効率重視・スマホで代替可能)
- After: カフェや公園で、可愛いカバーをつけて過ごす読書時間(体験重視・リアル店舗でしか得られない)

販促物が「商品」に化ける瞬間

さらに秀逸なのは、当初は無料の販促物(コスト)だったこのカバーを、最終的に「販売商品(利益)」に変えた点です。 最初は赤字覚悟の「おまけ」でした。しかし、そのクオリティが評判を呼び、「お金を払ってでも欲しい」というファンを生み出しました。 結果、カバー単体で利益が出るようになり、そのカバーをつけるための文庫本も売れるという好循環(エコシステム)が完成したのです。
「販促費はコスト」という常識を疑ってください。 お客様が熱狂すれば、それは立派な「商品」になります。
実践:明日からできる「泥臭い」第一歩
「それはデザインができる人がいたからでしょ?」 そう思ったあなた。諦めるのはまだ早いです。 私がコンサルティングの現場でよく使う、「脇役の主役化」フレームワークをご紹介します。予算をかけず、明日から社内でできることです。
小島流・価値の再発見ワーク
まず、社員や現場スタッフにこう聞いてみてください。
「うちの商品を使っている時、お客様の『手』や『目』の近くにあるものは何だろう?」
正和堂書店の場合、それが「しおり」であり「カバー」でした。 あなたの会社ならどうでしょうか?
- 食品メーカーなら: 食べる時に使う「器」や「カトラリー」に、驚きの工夫はできませんか?
- BtoBの部品工場なら: 納品時に使う「梱包材」や「通い箱」が、相手の工場の整理整頓を劇的に楽にするものになりませんか?
- リフォーム業なら: 工事中にご近所に配る「挨拶の粗品」が、話題性を呼びませんか?
思考のヒント
【自社の「脇役」を探す3つの視点】
接点(タッチポイント): 商品そのものではなく、商品に触れる「前後」に何があるか?
感情(エモーション): お客様はその時、どんな気分になりたいか?(例:賢く見られたい、癒やされたい)
変換(マネタイズ): それを単体で売るとしたら、いくらの値札がつくか?
まずは、「最高にこだわった『おまけ』を10個だけ作ってみる」ことから始めてみましょう。 私の妻が料理をする時、最後に散らすパセリ一つで皿の印象が変わるように、小さな「脇役」がメインディッシュ(本業)の価値を劇的に高めることがあります。

参謀からのエール

本日のまとめです。
- 商品は売るな、時間を売れ。 お客様は機能以上の「体験」を求めている。
- 「いいね」で満足するな。 「わざわざ行きたくなる」物理的な仕掛けを作れ。
- コストを利益に変えろ。 本気で作った販促物は、やがて稼ぐ商品になる。
中小企業の強みは、こうした「遊び心」を社長の鶴の一声ですぐに実行できることです。 会議室で唸る前に、現場の「おまけ」を見直してみてください。そこに、次の柱となるダイヤの原石が転がっているかもしれません。
もし、「うちの『おまけ』が見つからない!」と悩まれたら、いつでも私にお声がけください。 一緒に汗をかき、泥臭く現場を歩き回りましょう。あなたの会社の「痛み」を「強み」に変えるのが、私の仕事ですから。
(小島)























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