親の背中と、私の背中。
名古屋も随分と冷え込んできました。みなさん、体調は崩されていませんか? 小島です。
私事ですが、最近は週末になると妻と二人で、お互いの両親の元へ通っています。 買い物に付き合ったり、病院へ送迎したり。いわゆる生活のサポートです。
かつては、私たちが彼らに育てられ、孫の世話まで助けてもらいました。それが今、役割が逆転し、私たちが彼らを支える番になっています。 不思議なもので、昔は「うるさいなあ」と思っていた親のこだわりや習慣が、こうして世話をする側になると「なるほど、こういう人生を歩んできたから、ここを大切にしたいんだな」と、妙に納得できたりするものです。
一番近くにいる家族でさえ、役割が変わってみないと見えてこない「価値観」や「個性」がある。 灯台下暗しとはよく言ったもので、私たちは「身近にある資源(リソース)」の本当の価値を、意外と理解していないのかもしれません。
なぜ急にこんな話をしたかというと、今日取り上げるニュースが、まさに「身内の価値を再発見せよ」という話だからです。 ただし、ビジネスの世界では、それができない会社は「市場から選ばれなくなる」という、少々怖い話でもあります。
机上の空論は抜きにして、私たちの現場の話をしましょう。

「人材ビッグバン」を、中小企業はどう生きるか
先日、日経MJに掲載されたビジョナル(ビズリーチ)の南社長のインタビュー記事、ご覧になりましたか? 非常に示唆に富む内容でした。
(トップに聞く) 社内でも人材ビッグバン ビジョナル社長 南壮一郎さん 「社内版ビズリーチでは社内人材の価値の見える化に挑む」 「強い会社はより強くなり、弱い会社は弱くなる。これこそが市場原理」 「記憶と勘に頼る人事ではもはや限界がきています」
日経MJ2025/12/14
南社長は、労働寿命が80歳まで伸びる中、社内の人材データを可視化し、適材適所で活用する「社内版ビズリーチ」の必要性を説いています。AIを使ってレジュメを作り、誰がどのポストに適任かを数値化する。まさに「人材ビッグバン」です。

これを読んで、「うちはAIなんて導入できないし、関係ない話だ」とページを閉じそうになった社長さん。 ちょっと待ってください。
ここに書かれている本質は、システムの話ではありません。 「今いる社員の『本当の使い道』を知っていますか?」という、経営者への鋭い問いかけです。
「記憶と勘」の限界を超えろ

苦情対応の現場にいた私だから断言できますが、「痛み(苦情やトラブル)」を解決できるのは、いつだって現場の人間だけです。
しかし、多くの中小企業では、社員の能力を「役職」や「今の担当業務」という狭い枠でしか見ていません。
- 「彼は経理だから、数字以外は分からないだろう」
- 「彼女は事務だから、営業のアイデアなんてないだろう」
これが、南社長の言う「記憶と勘に頼る人事の限界」です。 大手企業はこれをAIとビッグデータで解決しようとしています。では、資金力のない我々はどうするか?
答えは簡単です。泥臭く、聞き出せばいいのです。
システムがなくても、私たちには「物理的な距離の近さ」があります。 社員の隠れたスキルや、過去の経験、実は持っている「やりたいこと」。これらを掘り起こすだけで、新規事業の種は驚くほど見つかります。
「強い会社」とは、AIを持っている会社ではありません。 「社員という経営資源を、骨の髄までしゃぶり尽くして活かせる会社」のことです。(言葉は悪いですが、これこそが愛情です)
明日からできる「泥臭い」第一歩

では、具体的にどう動くか。 高価なタレントマネジメントシステムなんて要りません。明日、たった一つのアクションを起こしてください。
小島流:隠れた資産を掘り起こす「3つの雑談」
お昼休みでも、移動中の車内でも構いません。社員に対して、普段の業務とは全く関係のない、以下の3つの質問を投げかけてみてください。これがアナログな「社内版ビズリーチ」の第一歩です。
【新規事業の種を見つける3つの質問】
1「学生時代や前職で、一番ハマっていたこと(得意だったこと)は何?」
狙い: 今の業務では使っていない「埋蔵スキル」の発掘。
例: 経理担当が実は動画編集が得意だった → YouTube運用の内製化へ。
2「最近、プライベートでお金を払ってでも解決したかった『不便』はある?」
狙い: 生活者としてのリアルな「痛み(市場ニーズ)」の発見。
例: 共働きで夕食作りが限界 → 自社の配送網を使った「ミールキット配送」のヒント。
3「もし会社のお金で好き勝手に何か一つできるとしたら、何をやってみたい?」
狙い: 潜在的な「意欲(エンゲージメント)」とアイデアの結合。

この3つを聞くだけで、社長の頭の中にある「社員名簿」が書き換わります。 「経理の佐藤さん」が、「元バンドマンで動画編集ができて、育児の悩みを抱える佐藤さん」に変わる。
新規事業は、遠くの誰か(コンサルタント)が持ってくるものではありません。 「社員の隠れたスキル」×「身近な痛み」のかけ算から生まれます。
大企業がAIでやろうとしていることを、私たちは膝を突き合わせた「雑談」でやりましょう。 その泥臭さこそが、中小企業の最大の武器なのですから。
参謀からのエール
「人材不足」と嘆く前に、今いる社員をもう一度、真っさらな目で見つめ直してみてください。 彼らは、社長が思っている以上に、多様な引き出しを持っています。
ないものを嘆くより、あるものを活かす。 それが、私たちウィッテムが信じる「アイデアの破壊力」です。

あなたの会社には、まだ見ぬ「宝」が必ず眠っています。 一緒に汗をかいて、その宝を掘り起こしていきましょう。
もし、「そうは言っても、社員の本音を聞き出すのが怖い」「アイデアをどう事業化すればいいか分からない」という悩みがあれば、いつでも小島に声をかけてください。 あなたの会社の「参謀」として、珈琲でも飲みながら、じっくりお話を伺います。
【付録】経営者が朝礼で社員に語る「30秒メッセージ」
(朝礼で、このまま読み上げてください)
おはようございます。
今日は皆さんに一つ、お願いがあります。 これからの時代、変化に対応できる会社だけが生き残ると言われています。でも、私はこの会社を、AIやシステムだけで管理するような冷たい組織にはしたくありません。
一番の財産は、ここにいる皆さん一人ひとりです。 でも正直に言うと、私は皆さんが持っている「今の仕事以外の素晴らしい一面」を、まだ全然知りきれていないと反省しています。
これから少しずつ、皆さんが過去に経験したことや、実はやってみたいと思っていることを聞かせてください。「こんなこと仕事に関係ない」と思わずに教えてほしい。 その中に、会社が次に進むべきヒントが隠されていると本気で思っています。 皆さんの「隠れた才能」を活かせるステージを私も必死で作りますので、力を貸してください。 今日も一日、よろしくお願いします。

























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