こんにちは。ウィッテムの小島です。
私の愛車は、スーパーカブです。先代のリトルカブから乗り継いで、かれこれカブ歴は15年になります。近隣の顧問先へは、だいたいこのカブに跨って向かいますし、出張する時も荷台にキャリーケースを括り付けて駅まで走ります。
とにかく便利で、頑丈で、燃費がいい。カブの愛好家は多く、自らを「カブ主」と呼ぶほど熱狂的なコミュニティもあるくらいです。
カブの魅力は到底語り尽くせませんが、私がもっとも惚れ込んでいるのは「登場以来、基本設計が変わっていない」という事実です。どれほど緻密に、人々の生活と用途を考え尽くされて生まれたバイクなのかと、乗るたびに感心してしまいます。私も、そんな風に長く愛され、ブレない軸を持つ事業をつくりたいと常々考えています。
さて、今日はそんな泥臭い「カブ」の話から一転して、地球の裏側のような超高級車「ベントレー」のニュースを取り上げます。
「うちみたいな中小企業に、ベントレーの戦略なんて関係ないよ」と思われた経営者の方。ちょっと待ってください。実は、予算も規模も違うこの高級車ブランドがやっていることの「本質」は、私たちが明日から現場で使える新規事業のヒントそのものなのです。
この記事を読み終える頃には、「新規事業、何から始めればいいかわからない」というモヤモヤが晴れ、明日、社員に何を語りかければいいかが明確に見えているはずです。
ベントレー流「顧客民俗学」に見る、ビジネスの真の種

今回のニュースで最もハッとさせられたのは、ベントレーが車のスペックや要望を聞くのではなく、「顧客のライフスタイル全体」を徹底的に深掘りしているという点です。
年間170人に対し、「何を食べて、どんな服を着て、パートナーと何を話しているか」まで、まるで民俗学者のように入り込んで調査をしていると言います。
なぜ、これが中小企業にとって最大のチャンスになり得るのでしょうか。 それは、「顧客の生活に入り込み、声なき声を聞くこと」にお金はかからないからです。
私はかつて、通販会社の苦情対応部署からキャリアをスタートしました。毎日毎日、お客様の怒りや悲しみと向き合う中で確信したことがあります。それは、お客様の切実な「なぜ?」や「痛み」の中にこそ、最大の経営資源(ビジネスの種)が眠っているということです。
ベントレーは、ミラノのブティックでの「花の香りで気分が高まった」という顧客の楽しい記憶(インサイト)から、ショールームの香りを設計しました。これを私たち中小企業に置き換えるなら、お客様の「不便」「面倒」「諦め」という痛みから、新しいサービスを設計するということです。
記事の最後で、ベントレーの担当者はこう語っています。 「価値が『所有』から『心理的充足』へと移行している」
お客様は、単に「モノ」が欲しいのではありません。「心が整う時間」や「悩みが解決した安堵感」にお金を払うのです。自社の商品や技術のスペックばかりを眺めていては、この「心理的充足」には絶対にたどり着けません。
明日からできる、泥臭い「内部の参謀」アクション
では、明日から具体的に何をすればいいのでしょうか。 高額なコンサルタントを呼んだり、大規模な市場調査システムを入れたりする必要は一切ありません。
まずは、皆さんの会社の「現場」に眠る声を拾い上げる仕組みをつくりましょう。
【小島流・泥臭いインサイト発掘術:3つの「なぜ」】
クレームの裏の「なぜ」を探る
表面的な怒りの奥には、必ず「こうしてほしかった」という期待と、裏切られた悲しみ(痛み)があります。そこに新規事業のヒントがあります。
現場の「雑談」を資産に変える
営業や窓口の社員に「今週、お客様とどんな無駄話をしましたか?」と聞いてみてください。「最近〇〇で困っててね…」という何気ない一言こそが、宝の山です。
社員自身の「違和感」を信じる
「この作業、実はお客様にとってすごく不親切じゃないですか?」という現場の違和感を見逃さないこと。社員は一番身近な顧客体現者です。
ベントレーは、従業員自身にラグジュアリーな世界観を体験させる「インターナルマーケティング」を重視しています。これも本質は同じです。「自社のサービスが、いかにお客様の人生を良くするか」を、社員自身が自分の言葉で語れる状態をつくることが、最強の営業力であり、事業開発の第一歩なのです。
小島流「味変アイデア」:ちなみに…
記事の中でベントレーは、従業員を正装のガラディナーに招待してブランド体験をさせていました。素晴らしい取り組みですが、私ならここに中小企業ならではの泥臭いスパイスを一つ加えます。
もし私が経営者なら、豪華なディナーの代わりに「自社のサービスを全力で使い倒す、顧客体験合宿」をやります。 社員全員で、自社の商品を一番厳しいお客様の目線で丸一日使ってみる。そして夜は、気取ったフルコースではなく、土鍋で炊いた熱々の炊き込みご飯でもみんなでつつきながら、「どこがダメだったか」「どうすればもっと心が動くか」を本音でぶつけ合うんです。
豪華なドレスコードがなくても、同じ釜の飯を食いながら「顧客の痛み」を共有する体験は、必ず強いチームと新しいアイデアを生み出します。
参謀からのエール
今回のまとめです。
- 商品のスペックではなく、顧客の「ライフスタイル」と「感情の動き」を観察せよ。
- 価値は「モノの所有」から「心の充足」へ。痛みを解決した先の安堵感に目を向けよ。
- まずは現場の社員が拾う「雑談」と「違和感」を聞くことから、泥臭く始めよ。
ウィッテムが掲げる「あるものを活かして、ないものをつくる」。 その「あるもの」とは、皆様の現場にすでに眠っているお客様の声であり、社員の気づきです。机上の空論で悩む時間は終わりにして、まずは現場に入り込んでみませんか。
一緒に汗をかきましょう。 あなたの会社が今抱えている「痛み」や、お客様の「切実な声」を、ぜひ私に教えてください。その声を、必ず次の収益の柱に変えてみせます。
【付録】経営者が朝礼で社員に語る「30秒メッセージ」
皆さん、おはようございます。 最近、高級車のベントレーに関する面白い記事を読みました。彼らは車を売るために、車の話ではなく「お客様が普段どんな服を着て、何を食べているか」という生活そのものを徹底的に聞いているそうです。
これ、私たちの仕事も全く同じだと思いませんか? 私たちが提供しているのは、単なる商品やサービスではありません。それを通じて「お客様の生活をどう楽にするか」「どう笑顔にするか」が本来の価値です。
だからこそ、今日からぜひ、お客様との「雑談」を大切にしてください。何気ない会話の中に潜む「困りごと」や「不便」に、私たちの次のビジネスの種があります。皆さんが現場で感じる違和感は、会社の財産です。




























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