こんにちは。名古屋から、社長参謀の小島です。
突然ですが、皆さんはお店での「試食」や「試着」、得意ですか? 実は私、個人的にすごく苦手なんです。決して嫌いなわけじゃない。機会があれば試してみたいとは常に思っています。でも、いざその場になると、なぜか敬遠してしまう。店内で店員さんに「これのMサイズありますか?」と声を掛けるのも、なんだか申し訳なくて気が引けるタイプです。
目当ての商品を探して店内をウロウロし、散々歩き回った挙句に見つからなければ、誰にも何も聞かずにスッと店を出てしまう。我ながら「やっかいな客だな」と苦笑いしています。
でも、今日皆さんに一番お伝えしたいのは、実は私のような「何も言わずに去っていく客」の心の中にこそ、最強のビジネスの種が眠っているということです。
私はかつて、通販事業の苦情対応部署で、毎日お客様の怒りや不満と向き合ってきました。そこで骨の髄まで叩き込まれたのは、「お客様の声(特に痛み)こそが最大の経営資源である」という事実です。クレームを言ってくれるお客様は、まだ改善のチャンスをくれています。本当に恐ろしいのは、私のコラムのように「無言で去っていく」お客様の心理なのです。
この記事では、最近話題になったある大企業のニュースを入り口に、中小企業が予算をかけずに「顧客の痛み」を見つけ出し、明日から新規事業の第一歩を踏み出すための泥臭い実践法をお伝えします。
ニュースの深読みと「問い」
なぜファミマは「1円」で試作品を配るのか?
先日、日経MJでこんな記事が出ました。ファミリーマートが、企業の試作品を「1円」で販売し、集まった購買データを商品開発に活かす法人サービスを始めるというものです。

1日1800万人が訪れる店舗網と、累計5500万にも及ぶ会員IDのデータを掛け合わせる。たとえば「ベビー用品を買う人は、コンビニスイーツの購入率が20%高い」というデータから、「育児の疲れを癒やすリラックスグッズが売れるはずだ」という仮説を立てる。まさに大企業ならではの圧倒的なスケール感です。
この記事を読んで、「うちには何千万ものデータなんてないよ」とため息をついた経営者の方、ちょっと待ってください。
ファミマが莫大な投資をしてまで本当に手に入れたいものは何でしょうか?それは単なる数字の羅列ではありません。「消費者の隠れた行動の裏にある、痛みのメカニズム」です。育児に疲れて甘いものを求めている、という「人肌感のある事実」をお金で買いに行っているのです。
ここが、中小企業にとってのチャンスであり、同時に危機でもあります。 大企業がAIやビッグデータを駆使して、かつては中小企業や街の商店が得意としていた「個人の感情や生活の機微」にまで手を伸ばしてきている。これが今の社会構造の変化です。
しかし、恐れることはありません。何百もの企画書を作り、現場を這いずり回ってきた私からすれば、中小企業にはデータ分析の前にやるべき「泥臭い戦い方」があります。人の痛みに寄り添うことに、巨大なシステムは必須ではないのです。
明日からできる「泥臭い」第一歩
予算ゼロで「声なき声」を拾い上げる
大企業が何億円もかけて探している「仮説の種」を、中小企業は日々の現場から直接拾い上げることができます。明日からすぐに行動できる、私からの提案はこれです。
「売上データを見る前に、現場の社員に『今日の変なお客様』についてヒアリングする」
コンサルタントとして様々な企業に入り込む際、私が必ず使う思考のフレームワークを特別に公開します。
【小島流】「声なき声」を拾う3つの質問フレームワーク
❶「買わずに帰ったお客様」は、直前にどの棚の前で立ち止まっていたか?
(そこに「欲しいけれど、何かが足りない」という迷いのポイントが隠れています)
❷「本来の用途と全く違う使い方」をしているお客様はいないか?
(売り手が気づいていない、隠れたニーズの発見に繋がります)
❸現場のスタッフが「実は対応がちょっと面倒くさい」と思っているお客様の要望は何か?
(マニュアル化できないその「面倒くささ」を解決することこそが、新規事業の最強の種になります)
私のように「探しても見つからずに無言で帰る客」の動線を観察するだけで、「なぜあの場所で立ち止まったのか?」という深い問いが生まれます。机上の空論ではなく、現場の違和感にこそ真実があるのです。
小島流「味変アイデア」
もし私がファミマの担当者なら…
ちなみに、私が経営するウィッテムの信条は「あるものを活かして、ないものを創る」です。今回の「1円試作品」も素晴らしい企画ですが、私ならもう一つスパイスを加えます。
それは「ボツ企画・お蔵入り試作品の1円販売コーナー」を作ることです。 企業の中で「社内会議を通らなかった」「テストで不評だった」という失敗作をあえて1円で売り、コンビニのヘビーユーザーたちに「なぜこれがダメだったと思うか?」を辛口でアンケート回答してもらいます。 成功を狙う試作品だけでなく、「失敗の山」という既存の資産(あるもの)を活かして、消費者の本音(ないもの)を創り出す。私ならそんな泥臭い企画を提案してみたいですね。
参謀からのエール
本記事のエッセンスをまとめます。
- 大企業は莫大なコストをかけて「顧客の隠れた痛み」を探しに行っている。
- 中小企業の武器は、現場にある「生々しい顧客の行動と違和感」である。
- 「面倒くさい」「なぜ?」の中にこそ、明日を変える新規事業の種がある。
既存事業の先行きに不安を感じているなら、まずは現場のリアルな声に耳を澄ませてみてください。高尚な理論はいりません。 あなたの会社の現場には、どんな「痛み」が転がっていますか?ぜひ、私に教えてください。一緒に汗をかき、泥臭く事業を創り上げていきましょう。
【付録】経営者が朝礼で社員に語る「30秒メッセージ」
おはようございます。 昨日、ファミリーマートが「1円で試作品を売ってデータを見る」というニュースを読みました。大企業はそこまでして「お客様が本当に求めているもの」を知ろうと必死です。
でも、よく考えてみてください。お客様に一番近いところにいるのは、大企業のデータサイエンティストではなく、毎日現場に立っている皆さんです。 「買わずに帰ってしまったお客様」「ちょっと変わった質問をしてきたお客様」。皆さんが日々感じているその「小さな違和感」や「面倒くささ」の中に、我が社の次の柱になるビジネスの種が確実に眠っています。
今日は、「何が売れたか」だけでなく、「どんなお客様が気になったか」をぜひ私に教えてください。現場の皆さんの気づきから、一緒に新しい価値を創り出していきましょう!今日もよろしくお願いします。


























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