100均のタッパーから見えた「究極の顧客心理」
こんにちは、ウィッテムの小島です。 名古屋を拠点に、中小企業の社長の「参謀」として、泥臭く新規事業の立ち上げに伴走しています。
突然ですが、最近セリア(100円ショップ)で買った「ご飯の一膳分の冷凍保存容器」、これがすこぶる調子がいいんです。
土鍋で炊き込みご飯を作るのが好きなのですが、以前は余ったご飯を毎回ラップで包んで冷凍していました。熱いし、面倒だし、食べる時に温めムラはできるし、何より毎回ラップのゴミが出るのが地味にストレスでした。
でも、この容器なら熱々のまま入れて放置。冷えたら冷凍庫へ放り込み、食べたい時にそのままレンジでチン。時々横着して、茶碗によそわず容器のまま食べることもあります(笑)。ゴミは減るし、洗い物は減るし、最高です。
なぜ、いきなり私の日常のズボラな話をしたのか。 実はこの「ゴミが減る」「そのままチンできる」「洗い物が減る」という日常の小さなメリットにこそ、企業の新規事業を成功に導く強烈なヒントが隠されているからです。
今日は、「新規事業の種はどこにあるのか?」と悩む経営者の方へ。机上の空論ではなく、明日から現場で使える手立てをお伝えします。
これを読めば、多額の研究開発費をかけなくても、自社の「既存事業の延長線上」に宝の山があることに気づけるはずです。
既存の王者が「あえて」儲からない市場に再参入する理由
先日、日経MJで非常に興味深い記事を読みました。 焼き鳥缶詰で国内シェア7割を誇る王者・ホテイフーズが、約20年ぶりに「パウチ製品(袋入り)」に再参入するというニュースです。

缶詰という圧倒的なドル箱(代名詞)を持ちながら、なぜ今、パウチなのか。 理由は明確です。若年層や単身世帯の「食後に缶のゴミを捨てるのが面倒くさい」「そのままレンジで温めたい」というライフスタイルの変化に対応するためです。
実は、パウチ製品は生産効率が落ちるため、缶詰よりも利益率が低いそうです。それでも彼らは、あえて再参入を決めました。自社の主力商品である「缶」のパイを食い合うリスク(カニバリゼーション)を背負ってでも、です。
私はかつて、通販事業の苦情対応部署で、日々お客様の「切実なクレーム」の矢面に立っていました。その経験から確信していることがあります。 それは、「お客様の声(特に痛みや面倒くささ)にこそ、最大の経営資源が眠っている」ということです。
お客様は「新しい技術で作られた新商品が欲しい」のではありません。 「缶を洗って分別して捨てるのが面倒くさい」「お皿に移し替えてチンするのがだるい」という『痛み』を解決してほしいだけなのです。
ホテイフーズは、自社の強みである「炭火焼きの技術」はそのままに、提供する「容器」を変えることで、お客様の痛みを解消しに行きました。これは、中小企業が新規事業を考える上で、めちゃくちゃ重要で、かつ真似しやすい戦略です。
明日からできる「泥臭い」第一歩:自社の「缶」を見つけよう
「新規事業をやれ!」と号令をかけても、社員は動きません。何から手を付ければいいか分からないからです。 そこで、明日から予算ゼロでできる具体的なアクションプランを提案します。
それは、現場の社員(営業やサポート窓口)に「うちの商品・サービスに対する、お客様の『面倒くさい』を3つ聞いてきて」と頼むことです。
私のコンサルティング現場でもよく使う、痛みを洗い出すためのフレームワークを共有します。
【小島流・顧客の「不」の発見フレームワーク】
❶捨てる時の不(後処理):
使い終わった後、お客様はどう処理しているか?(例:ゴミの分別が面倒、解約手続きが複雑)
❷準備の不(前工程):
使う前に、どんな「面倒な作業」が発生しているか?(例:お湯を沸かす必要がある、初期設定が分かりにくい)
❸罪悪感の不(心理面):
使うことで感じる後ろめたさはないか?(例:手抜き料理だと思われる、環境に悪い気がする)
新規事業とは、何も「空飛ぶクルマ」を作ることではありません。 既存の強み(ホテイなら焼き鳥の味)を活かしつつ、お客様の「捨てる時の不」や「準備の不」を取り除く。それだけで、立派な新規事業になります。
社長、御社の商品における「捨てにくい缶」は何ですか?
おまけ:小島流「味変」アイデア
ちなみに、私ならホテイフーズのパウチ焼き鳥に、もう一つスパイスを加えます。
今回のパウチは「中身が見える透明なデザイン」が特徴とのこと。ならば、ウィッテムの信条である「あるものを活かして、ないものを創る」の精神で、パッケージにQRコードを印字します。
読み込むと、ホテイフーズの専門職人が炭火で鶏肉を焼いている「ジュージューというシズル感たっぷりの1分間のASMR動画(音声)」が流れる仕組みです。 レンジでチンしている数十秒間、その動画と音を見てもらうことで、ただのレトルト食品が「職人が焼き上げた本格焼き鳥」へと脳内で昇華されます。原価はほぼゼロ、動画を一本撮るだけです。現場の工夫一つで、体験価値はいくらでも引き上げられます。
参謀からのエール
本日のまとめです。
- お客様の「面倒くさい」「ズボラ心」は、新規事業の最強のヒントである。
- 自社の主力商品を脅かす変化にこそ、あえて自ら飛び込む勇気を持つ。
- まずは現場の声から、自社商品における「後処理」や「準備」の不を探す。
既存事業の先行き不安は、社長であれば誰しもが抱える悩みです。 でも、難しく考える必要はありません。答えはいつも、お客様の「ちょっとしたため息」の中にあります。
もし、「うちの会社の『痛み』がどこにあるか分からない」という方がいれば、ぜひ教えてください。一緒に泥臭く、現場に入り込んで汗をかきましょう。コーヒーでも飲みながら、御社の「あるものを活かして、ないものを創る」作戦会議をしませんか?
【付録】経営者が朝礼で社員に語る「30秒メッセージ」
(※明日の朝礼で、ぜひご自身の言葉としてお使いください)
「おはようございます。
昨日、面白い記事を読みました。あの焼き鳥缶詰で圧倒的シェアを持つホテイフーズが、あえて利益率の低い『パウチ(袋入り)製品』に再参入したそうです。理由は単純で、お客様が『缶を捨てるのが面倒くさいから』。
これって、うちの会社にも言えることだと思うんです。
私たちが当たり前だと思っている商品やサービスの手続きに、お客様は『面倒くさい』と感じている部分が必ずあるはずです。
今日一日、お客様と接する中で『これ、お客様にとって手間じゃないか?』という視点を持ってみてください。どんな小さなことでもいいです。それに気づくことが、私たちの次の大きなビジネスの種になります。今日も一日、よろしくお願いします!」


























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