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SHIPSが「公式古着」を売る本当の理由。〜「売りっぱなし」ビジネスの終焉〜

1. 「売った後」を把握していますか?

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社長、質問です。

御社の商品は、一度顧客の手に渡った後、どうなっているか把握していますか?

「売ったら終わり」 「アフターサービスはしているが、その後の追跡は難しい」

もし、そう思っているなら。 あなたは今、最大のビジネスチャンスを足元から逃しているかもしれません。

今日は、アパレル業界で起きている「公式古着」というムーブメントを深掘りし、あらゆる業種に通じる「新規事業のヒント」を探ります。

これは、単なる流行りのSDGsやリユースの話ではありません。 「売りっぱなし」のビジネスモデルを根本から覆す、顧客との新しい関係性の話です。

2. なぜ、新品の店に「古着」が並ぶのか

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先日、日経MJに興味深い記事が載っていました。

セレクトショップの【SHIPS(シップス)】が、自社の公式ECサイトで「公式古着」の販売を開始した、というのです。顧客などから服を買い取り、検品・メンテナンスして、新品の3〜4割程度の価格で再販する。

驚くべきはパタゴニアです。 京橋の新店舗では、なんと新品を売るのと同じフロアに「古着の常設売り場」を設けたというのです。

「なんだ、ただの中古販売か」 「在庫処分か、環境対応アピールだろう」

そう思ったとしたら、あなたは「古い経営者」の仲間入りです。 彼らが巨額の投資をしてまで「公式古着」に取り組む本質は、まったく別のところにあります。

3. 本質は「8割が新品を買う」という好循環

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彼らが「公式古着」をやる理由。 その本質の1つ目は、「優良顧客のLTV(顧客生涯価値)最大化」です。

記事によると、買い取りを支援する企業のデータでは、衝撃的な事実が明らかになっています。

古着を買い取る際、クーポンやポイントを付与すると、顧客の【8割強】が、4ヶ月以内に同じブランドで【新品】を購入する。

(もう一度言います。8割です。)

これは何を意味するか?

顧客が「もうこの服、着ないな」と思った瞬間は、そのブランドとの「別れの危機」です。 普通なら、メルカリで売るか、捨てるかして、関係は途切れます。

しかし、「公式買い取り」という選択肢があることで、顧客は再びブランドの公式サイトを訪れます。 そして、買い取りで得たポイントやクーポンを「軍資金」に、どうせならと【次の新作】に目を通すのです。

「売り終わり」が、次の「新品購入」の強力なフックになっている。 買い取りが、最強の「再来店促進」施策として機能しているのです。

4. 最もヤバいのは「宝のデータ」

しかし、本丸はここからです。 本質の2つ目、それは「究極の商品開発データの獲得」です。

考えてみてください。 あなたはメーカーの経営者として、以下のデータが喉から手が出るほど欲しくないですか?

  • 「どの商品が、すぐに手放されたのか?(=失敗した商品)」
  • 「どの商品が、ボロボロになるまで長く愛用されたのか?(=顧客が本能的に価値を感じた商品)」

従来、これは憶測やアンケートでしか把握できませんでした。 しかし「公式買い取り」は、これをすべてデータ化します。

「すぐに手放された服」には、デザイン、素材、着心地に共通の欠陥があるかもしれません。 「長く愛された服」には、顧客が本当に価値を感じる隠れた理由があるはずです。

シップスやパタゴニアは、この「売った後」の生々しいデータを分析し、次の新作開発(R&D)に活かしているのです。

これは、競争のルールが完全に変わったことを意味します。

これまでは、いかに「たくさん売るか」の勝負でした。 これからは、いかに「たくさん、長く使われるか」の勝負です。

「売った後」のデータを制する者が、次の市場を制するのです。

5. あなたの会社で「公式中古」を設計する方法

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さあ、ここからが本題です。 この話を「自社」にどう活かすか。

「うちはアパレルじゃないから関係ない」 …思考停止です。あらゆる業種に応用できます。

  • 事務機器メーカーなら? 「公式中古PC」「公式中古チェア」を買い取り、再生し、サブスクで提供する。なぜ手放したか(重い、遅い)のデータは宝の山です。
  • 厨房機器メーカーなら? 廃業する店舗から「公式買い取り」し、次の開業希望者に安価に販売する。どの機種が酷使されても壊れなかったか?最高の耐久データが取れます。
  • 学習塾なら? 卒業生の「公式中古教材」を買い取り、次の生徒に提供する。書き込みの多いページ(=生徒が躓いた箇所)は、次のカリキュラム開発に直結します。

(記事では、特に「子ども服」の古着が予想以上に売れている、という記述もありました。成長が早く、買い替えサイクルが早い市場は、この戦略と相性抜群です)

改めて、あなたの会社に問いかけます。

社長は、顧客が自社商品を「手放す瞬間」を、どう設計しますか?

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そこを「別れ」や「コスト(アフターサービス)」で終わらせていませんか? そうではなく、「手放す瞬間」こそが、顧客と最も深い関係性を築き、次の「新品開発」のためのデータを手に入れる【最高の投資機会】だと捉え直す。

「売り終わり」は、「次のつながり」の始まりです。

あなたの会社なら、どんな「公式中古」が設計できるでしょうか。 ぜひ、コメント欄であなたのアイデアを教えてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 (「スキ」を押していただけると、次の記事の励みになります!)


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小島章裕

元・苦情係の社長参謀、企画力が強み。創業2001年、事業開発で企業を強くする会社を経営。毎日200件のクレーム対応で培った顧客目線を武器に、経営者の右腕、現場の伴走者として事業開発と組織変革を支援。お客様の痛みを知るからこそ、血の通った戦略で貴社の挑戦を支援します。趣味はウルトラマラソン&トレイルラン。

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